本日はブックオフへ

 仕事帰りにブックオフに立ち寄りました。この街には「ブックオフ」が二店と
TUTAYA」系のリサイクルブック販売店が一店ありますが、定期巡回は月に一回りと
いうところでしょうか。いつも記しておりますが、そのむかしはいまほど競争が厳し
くありませんでしたので、ずいぶんとおいしい思いをしたものですが、ほんと最近は
にんまりとする収穫がなくてさびしいことです。
 といいながら、本日立ち寄ったブックオフで購入したもの、見送ったものであります。
 まずは見送ったもの。

二流小説家 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)

二流小説家 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)

 ミステリはまるで強くないのでありますが、早川ポケミスは雰囲気が良くてこのま
しいです。どんなものを読んだらいいのかよく分かっていないので無難な選択になり
ますが、どのような内容なのか、「小説家」というのがタイトルにはいっているだけ
で、ずっと気になっていました。百五円なら即買いですがね。
 最近、手にした田村隆一さんの「ぼくのピクニック」の一節の引用。
「 ぼくの手もとに、たった一冊、ハヤカワ・ポケット・ミステリがある。ボロボロの
本で、裏にはぺたっと貸本屋のスタンプが押してある。『あおぎり書房』。この貸本屋
は、東長崎の銭湯のとなりにあって、色っぽい後家さんが経営していた。・・・・」
 ぼくは一年、東長崎に住んでから、神奈川県大山のふもとに引越した。その時の記念
に、『あおぎり書房』の色っぽい後家さんからハヤカワ・ポケット・ミステリを一冊
分けてもらったのである。貸本屋でさんざん稼いだらしく表紙をヒモでかがってある。
それは、アガサ・クリスティの『三幕の殺人』で、ぼくが訳したもの。表紙デザインは、
焼酎の好きな浜田稔さんで、解説は江戸川乱歩。ブック・ナンバーは159。
このシリーズはナンバー101のミッキー・スピレーンの『大いなる殺人』からはじま
ったもので、ぼくが企画し、江戸川乱歩先生と植草甚一氏の協力のもとに発足した
ポケット版「世界探偵小説全集」で、現在、1300点を超えているのではないかと思う。」
 すこし長い引用となりましたが、「ハヤカワ・ポケット・ミステリ」というのは、
そのサイズも含めて、とてもおしゃれであります。田村隆一さんの文章にありますよう
に、江戸川乱歩植草甚一そして田村隆一さんと訳者もそろっていることです。
 銭湯のとなりにあった貸本屋の色っぽい後家さんというのは、ちょっと風呂上がりに
立ち寄ってみたくなりますね。銭湯はともかくとして貸本屋は、最近めっきり見なく
なっています。
 さて、本日に購入した一冊です。 単行本が刊行されたときに手にして、小沢信男さんの書斎についてのところを立ち見
していましたが、今回やっとこさで入手です。