最近手にしている本

 今年はどうしたわけかあまり本が買えていません。購入した本の3割を読むという
ことをノルマとした場合、数が多いほどたくさん読まなくてはいけないのですが、
最近は読むことができなくなっていることから、買うこともできなくなっている
ようです。(いつも記しますように置き場所がなくなっていることも影響している
のであります。)
 本日に読んでいた本には、次のようなくだりがありました。
「 これほど精密で堅牢な模型はあとにも先にも見たことがない。・・さほど時間を
かけずにこの模型を完成させることができたのは、腕と手首、手のひらと指先の連携
が理想的に安定し(どんな細かい作業でも指先は1ミリも震えなかった)、視力も
まったく問題がなく(0.1ミリの隙間も見逃さなかった)、けれど本人たちはそのこと
になんの自覚もないという、まぎれもない若さがあったからだ。」
 このくだりがあったのは、昨年刊行されて話題となった「火山のふもとで」であり
ます。

火山のふもとで

火山のふもとで

 もともとは「新潮」に一挙掲載されたものでありますので、そんなに時間がかから
ずに読めるはずですが、これを読むに一ヶ月近くもかかるのですから、これはどうに
かならんかなです。(当方にまぎれもない老化のきざしであります。)
 作品はとてもお行儀がよくて、安心して読める小説となります。誰にでもおすすめ
できますが、もうすこしひねくれていたほうが偏愛される小説になるかもです。
 新人小説家といっても文芸編集者をやってらした方で、年齢的には坪内世代で、
ベテランといわれてもいいわけで、こういう新人作家でしたら、まったく違和感が
なしであります。