表紙の裏 2

 「みすず」を出版社のPR雑誌といっていいのでしょうか。
「みすず」は格調が高すぎるせいもありまして、かっては定期購読をしていたもの
の、あまりにも読むことができず、定期購読をやめてしまっています。よしていた
定期購読を再開していたのは、小沢信男さんが「通り過ぎた人々」の連載をしていた
二年間でありました。
 それから数年を経て、小沢信男さんが「みすず」にかえってきたのでありますが、
用意された舞台は、「みすず」表紙裏のページでありました。
前任となる方は、外山 滋比古さんでありまして、外山さんは「木石片々録」という
タイトルで、10年にわたって寄稿されていました。
 ちなみにその前はと思って見てみましたら、表紙の解説が掲載されていましたの
で、表紙裏にコラム掲載というのは、「みすず」の新たな試みであったのかも知れ
ません。
 新しい試みに起用したのが外山 滋比古さんというのは、「みすず」から著作集など
代表的な著作をだしていて、しかも硬軟あわせもっている筆者ということからは、
大当たりであったのでしょう。(まさか、そのあとに「思考の整理学」で大ベスト
セラーを生み出すことになろうとはです。外山さんのデビュー作は「修辞的残像」と
「近代読者論」ですが、これはともにみすず書房から刊行されていますが、元版は
かの「垂水書房」でありまして、垂水書房主と外山さんは同窓というつながりによる
ものと思われます。)
 このように十年も続いたページのバトンを受け継ぐ人というのは、たいへんであり
ます。どのような基準で選考が行われたのかわかりませんが、白羽の矢があたった
のは小沢信男さんでありました。
 外山さんというと「みすず」とつながりが深くて納得の人選ですが、小沢さんと
いえば、失礼ながら「みすず文化人」という雰囲気はしない方であります。
 そうした人選に「みすず」が、それまでのカラーを打ち破りたいという意気込み
が伺えると思いました。