旅の空から 4

 今回の旅の携行本は、谷崎潤一郎細雪」中でありました。先月に大阪 天神さんの
古本市で一冊百五円で購入した谷崎潤一郎全集(豪華普及版 新書サイズ)の第25巻で
ありますが、これまでいくつもの版で「細雪」を購入しておりますが、やっとこれで
読むことができそうな感じです。購入したのが先月のことで、先月に読み始めたので
ありますからして、ずいぶんと時間がかかっているなと思われるでしょうが、作中の
時間もゆっくりながれていますので、まあよろしいでしょう。
 この全集の「細雪」には伊藤整が解説を書いていますが、それによりますと次のよう
になります。
「『細雪』は読み通すのに大体三日か四日かかる作品である。枚数は千五百枚以上ある
であろう。普通日本で長編小説と言われるもの三冊分の長さである。特に内容の事件の
日時は明示していないけれども、中に書かれてある戦争とか、事件などについての推定
から、この作品の筋は、現実の日本の戦時中の事として描かれているのが分かる。」
 読み通すのに三日か四日といえば、今回の旅行中に読み上がる計算になりますが、
当方は三ヶ月か四ヶ月かかりそうであります。
細雪」の舞台となった場所を訪ねて歩くというのも楽しいかなと思いますが、たま
たま旅行のホームキャンプ地が舞台であったというのもよろしいことです。
このホームキャンプ地あたりに、なにか谷崎の作品世界に通じるような眺めがないだろう
かと思いながら横丁や路地を見ているのですが、かってのお屋敷などは高層のマンション
ができたり、小さな区画の分譲地となったりで、本日はお屋敷のつらなりなどをみる
ことはできませんでした。
 昔からの町の雰囲気というのは車社会となって道幅を拡げたりすることによって、
ずいぶんと薄れてしまいました。

 この写真のように車にあまりはいってほしくないというふうな道路のつくりはこの
ましく感じるのですが、これは近所に学校などがたくさんあって、スクールゾーンの
ためなのかもしれません。