今月の新刊 2

 小沢信男さんのちくま文庫版「東京骨灰紀行」には、文庫へのあとがきがありますが、
これは元版への補遺のようにもなっています。
「以上、大江戸、大東京の乱離骨灰史・補足篇でした。」とまとめてありまして、その
あとが本来の意味での「あとがき」でしょうか。
 これを見て、はじめて知った事実であります。2010年四月四日の朝日新聞読書欄に
ゼロ年代の50冊」の発表があって、これの八位に「東京骨灰紀行」がランクインした
ことは、拙ブログでも話題にしたことがありますが、驚きはそのあとにありました。
「また同年十一月には、小著に第9回サライ大賞を、小学館サライ編集部からいただき
ました。」
 このようにあるではないですか。サライ大賞というのがあったことも知らなかったの
でありますが、一昨年の「サライ」12月号に発表となったなかに、小沢さんの「東京
骨灰紀行」あったのですね。小沢信男ウオッチャーとしては面目なしであります。
 小沢さんがこれのあとがきで「賞のたぐいに無縁できて、2001年の先著『裸の大将
一代記 山下清の見た夢に』に第四回桑原武夫学芸賞をいただいた。それに続く光栄
でした。」と記しているように、小沢信男さんの21世紀にはいっての活躍にはめざまし
いものがありますが、これは文筆家 小沢信男さんの活動の一部であって、いまでも
比較的入手が容易な「若きマチュウの悩み」などを購入して、小沢さんの作品世界を
経験してもらいたいものです。
 小沢さんにはなんとなく講談社文芸文庫が似合わないので、ちくま文庫さんに
作品アンソロジーを刊行してもらうことをお願いしておきましょう。