創業40周年 3

 国書刊行会の創業40周年を記念しての朝日新聞全面広告のことを話題としています
が、この広告に掲載されている本で、当方がもっているのは「完全な真空」一冊のみ
であります。
 これは本についての本とか書評集が好きなことから購入したものであります。
これの著者レムは、著名な作家でありますが、恥ずかしながらほかの作品は「ソラリス
さえも読んでおりません。そういう意味からは、当方にとってレムさんは「完全な真空」
だけのつきあいとなります。それもあまり読んでいないのでありますからして、いや
はやなんともです。
「完全な真空」の冒頭におかれているのは、「完全な真空」についての書評であります
ので、これだけは現実の著作についてのものとなります。
「実在しない書物の書評を書くということは、レム氏の発明ではありません。現代の作家
ホルヘ・ルイス・ボルヘスにその種の試みがある(例えば、『伝奇集』所収の
『ハーバート・クウェインの作品の検討』)だけでなく、このアイデアはもっと昔にさか
のぼり、ラブレーでさえも、それを実行に移した最初の作家ではないのです。
 しかしながら、『完全な真空』を一風変わったものにしているのは、それがまさにこう
いった書評だけを集めたアンソロジーを目指している点です。首尾一貫した衒学趣味と
いうか、悪ふざけというか?私には作者の意図は悪ふざけにあるように思われますが、
その印象は長大で理論的な序文によって弱められることもありません。」
 これを悪ふざけというためには、よほどに読み手のレベルが高くなくてはいけない
ようです。
 朝日新聞の書評は「森毅」さんでありますが、森さんは、これをどのように料理した
ろうかであります。これは次のところで全文読むことができました。
http://book.asahi.com/reviews/reviewer/2011072806345.html