本日は映画館へ 3

 映画「かぞくのくに」を見にいった話でスタートしたのに、「あ・じゃ・ぱん」
の話というのは、いかがなものかであります。
 そんなわけで、まずは映画「かぞくのくに」について思いついたことを記して
しまいましょう。
 やはり舞台は大阪のほうがよかったように思います。監督は大阪出身であります
からして、私小説のように読み取れば舞台は大阪しかありえないのですが、それで
は、あまりにもしがらみでがちがちになってしまうでしょうか。すこし対象と距離
を置いたほうが作品としては落ち着くともいえますが、大阪のほうが断然リアルに
なります。
 同胞団体の幹部である父親の立場を悪くしないために、けなげにも中学校を卒業
したくらいの年齢で朝鮮半島の北へと旅たつのでありますが、この同胞団体という
のは、国内における領事館のような役割をしているのですから、父親はこどもを
祖国への忠誠を表明するための人身御供のように差し出したとも思えます。
こどもが希望を抱いて渡ったのは、民族教育の成果であるともいえるでしょう。
 こどもは親を選ぶことができず、親は北を祖国とするか、南とするかで悩むこと
となりました。もちろん、彼らのルーツのほとんどは南にあって、北というのは
バーチャルな祖国でありました。
 そういえば、かってのNHKの人気番組である「ブーフーウー」という番組に
出演していたオオカミの声優をしていた役者さんは、日本での役者人生をやめ
て、北へ渡ったということが話題となりました。その方が、渡ってからどうなった
のか、当方は知るところがありません。
( ウィキペディアには以下のようにありました。
 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B0%B8%E5%B1%B1%E4%B8%80%E5%A4%AB )
 戦前からの日本の移民政策というのは、南米とかへの移住を国家戦略として展開
したものですが、なかにはどうやっても食べるものを得ることができずに、こんな
ところを紹介してと、ごく最近になってから補償交渉が成立したという事例があり
ました。
 日本という国からの移民ではなく、北への帰国でありますからして、日本の国と
してはどうぞお好きにというしかないのでしょうが、それにしても大変な片道
切符の旅であります。