古本倶楽部から

 最近はネットに頼りすぎでありまして、古本の目録で注文をすることがすくなくなっ
ているようです。かっては古本を探そうと思いましたら、古書目録と書店巡りで本の
入手をはかるしかなかったようです。
 それが劇的にかわったのは、もちろんインターネットの普及でありますが、その昔の
アナログな愛書家による交換会とか、古書通信への探求書の広告というのも趣があって
よかったと思うことです。いまでも、きちんとした古書の場合には、ネットで購入する
のはためらわれることで、書影などが掲載されている古書目録で、現物を確認し、それ
にコメントがついていたりすれば、それもみた上で注文するというのがよろしいので
しょう。
 中野書店が毎月刊行している古本倶楽部は、最近手元に届いた9月号が279号を数えて
います。そんなに特別に高価なものはのっていないのですが、こちらの気をひくものは
数多くのっています。財布と相談になりますが、たいていは注文を断念であります。
 9月号は、「探偵は古本屋に居る。」という特集で、ミステリ本が巻頭を飾っていま
す。小栗虫太郎とか夢野久作のものにとても高い値段がついていて、ミステリーの
コレクターの熱心さがわかります。
塔晶夫版「虚無への供物」初版 カバー帯付のものが39,900円ででていました。最近
は、すこし値段が下がっているようですが、それでも購入できるような値段ではなし
です。
 この古本倶楽部には、たまにどうしてこんな値付けになるのかと思うようなものが
でていまして、これは撒き餌のようなものであるのかもしれません。たぶん、当方が
これを見て注文をだした時には、早い者勝ちでありまして、当然のこと売り切れと
いるのでした。こうしてのがしたものに、元版の「昔日の客 」関口良雄さんが
2625円というのがありました。夏葉社から新装ででたとはいえ、元版の人気が衰える
ことはなしで、こちらは地理的なハンディがあって、とうていこうしたものは指をくわ
えるしかないのですが、たまにこうした撒き餌がありますと、だめとわかっていても
注文をだしてしまいます。
 今回は、目録のなかから一冊の注文をだしましたが、これは見事に確保することが
できました。