百歳までの読書術 2

「百歳までの読書術」といっておきながら、45歳でなくなった伝説の編集者 塙嘉彦
んのことに話がいってしまいそうです。拙ブログでは、以前に山口昌男さんの関連で、
この方を話題にしておりました。平凡社からでているアンソロジー「未開と文明」山口
昌男編には、塙さんが翻訳したものが掲載されていましたですね。
 長生きするということは、若くて有望で、自分の後を託す人に先立たれるということで
あるようです。それこそ最長老(たとえば吉田秀和さんのような存在)になりましたら、
見渡せば自分より年長の同業者が、ほとんどいなくなるばかりでなく、自分よりもちょっ
と下の人もいなくなるのでありますね。
 百歳まで本を読み続けるのと、生きるのはどちらが大変でしょう。生きていることが
できたら読み続けていられるのではないかと、聖路加 日野原先生の日常を見ていました
ら思いますが、あのようにストイックな生活をすることは大変であります。
 いまから三十年ほど前とくらべると、身近に百歳の方も多くなったことです。今は百歳
を超えた方はどのくらいいるのでしょうか。あちこちにいるようですので、このまま平均
余命がのびていきましたら、当方にとっても百歳まで生きるというのは、夢物語ではない
のかもしれません。
 当方がお会いするお年寄りには、ほぼ吉田秀和さんと同年という方が複数名いらっしゃ
いますが、吉田秀和さんのように明晰ではないかもしれませんが、それでも元気に小説を
読んでいたりします。お一人は男性ですが、この方は、なんと大沢在昌さんの「新宿鮫
シリーズの愛読者で、分厚い文庫本がページが開かれたまま、テーブルに伏せられている
のをみました。残念なことに、この小説の感想などを聞かせてもらうことはできないので
ありますが、97歳くらいになっても文庫本で「新宿鮫」を読むことができるというの
は、素晴らしいことで、百歳までの読書術をどうお考えかと、この方に聞いてみたいもの
です。