1月の購入本 3

 鶴見俊輔さんの「象の消えた動物園」(編集工房ノア 2011年8月刊)から話題をい
ただいています。昨日に引用した川崎彰彦さんの「夜がらすの記」帯によせた文章は、
84年のものでありますので、当方はその時点で目にしているはずですが、それが頭から
とんでいました。当方は「夜がらすの記」を刊行と同時に購入し、それはもちろん帯
つきでありますが、読むときにじゃまということで、はずして別に保管していたりして
いるせいもあって、帯にどのようなことが書かれていたか、忘れているのはいつもの
ことでありました。
 「夜がらすの記」の川崎さんのあとがきには、「作品を書かせた石田郁夫小沢信男
ら『新日本文学』のスタッフ諸氏、息長く声援をおくってくれた人文書院の樋口至宏氏、
それに、こんども一冊にまとめることを申し出てくれた編集工房ノアの涸沢純平氏に、
心からお礼をいいたい。」とあるのですが、ここには帯に推薦文を寄せた鶴見俊輔さん
への感謝の言葉はありませんからして、鶴見さんの文章は、涸沢さんが依頼したもので
ありましょうか。
 しかし、それにしても「不義理と貧しさとつよい意志によって保てば、こういう懶惰
を楽しむ余地が、まだこの国にはある。」であります。これが書かれたのは、84年と
すれば、現在は、さらに「不義理と貧しさ」には恵まれた人が多いように思いますが、
その人々が「懶惰を楽しむ」ことができていないとすれば、それは「つよい意志」に
欠けているからでありましょうか。