1月の購入本 2

 年が改まって最初に購入したのは、心ならずもブックオフでのことでした。本当は
行きつけの本屋で、店頭からなにかふさわしいものを選びたかったのでありますが、
これは行きつけ本屋の絶不調のせいで、かないませんでした。年明けから、この店に
は数度足を運んだのでありますが、その都度、前はこんな棚ではなかったのにと肩を
落として手ぶらで帰ってくるのでありました。
 というわけで、今年の新本の一冊目は、版元に直接注文してありました編集工房ノア
の本でありました。いつもでありましたら、ノアから「海鳴り」を送っていただき
ましたら、「海鳴り」巻末の刊行書案内から、比較的新しいものを選びまして注文を
するのがならいでありましたが、昨年は、気持ちに余裕がない時期にいただいたせい
もありまして、すぐに動くことができず、年末になってやっと注文書を送ることが
できた次第です。
 届きましたのは、鶴見俊輔さんの「象の消えた動物園」と川崎彰彦さんの「夜がら
すの記」(こちらはダブり本)でありました。

象の消えた動物園―同時代批評

象の消えた動物園―同時代批評

 ノアの本の書影を紹介しようとしましたら、表紙をスキャナーで読み込みしなくて
はいけないと思って、だめもとで商品検索をかけましたら、上のようにヒットしまし
た。まさかアマゾンで「編集工房ノアの本」がヒットするとは思っても見ませんでし
たので驚きです。
 鶴見俊輔さんの本は、わりとでるとすぐに購入していたりするのですが、今回の
ものは、刊行されてから半年近くもたってからのことでした。この本に「同時代批評」
とありましたので、それで敬遠していたもののようです。
 この本の第4章は、「ノアの世界」というものですが、このノアというのは、出版社
ノアのことであり、この版元から作品集などを出している著者についての文章を集め
ています。
 ちょうど、このなかに「青西啓助に託す」という川崎彰彦さん「夜がらすの記」の
帯に寄せた鶴見俊輔さんの文章がありました。
 不思議なことに、この「象の消えた動物園」と一緒に注文していたのは、旧刊の
「夜がらすの記」でした。相当に古いものでありますが、在庫は残っていて、ただし
帯はないのですがよろしいですかと「ノア」さんからお問い合わせをいただきました。
もちろんOKといいましたら、わざわざ帯をカラーコピーしたものをつけていただき
ました。このカラーコピーの帯と、この鶴見さんの本によって、久しぶりに「夜がら
すの記」に寄せた文章を眼にすることができました。
「連作の主人公は、いそがしさという日本病に感染していない、まれなひとりである。
不義理と貧しさとつよい意志によって保てば、こういう懶惰を楽しむ余地が、まだこの
国にはある。」