年が改まって最初に購入したのは、心ならずもブックオフでのことでした。本当は
行きつけの本屋で、店頭からなにかふさわしいものを選びたかったのでありますが、
これは行きつけ本屋の絶不調のせいで、かないませんでした。年明けから、この店に
は数度足を運んだのでありますが、その都度、前はこんな棚ではなかったのにと肩を
落として手ぶらで帰ってくるのでありました。
というわけで、今年の新本の一冊目は、版元に直接注文してありました編集工房ノア
の本でありました。いつもでありましたら、ノアから「海鳴り」を送っていただき
ましたら、「海鳴り」巻末の刊行書案内から、比較的新しいものを選びまして注文を
するのがならいでありましたが、昨年は、気持ちに余裕がない時期にいただいたせい
もありまして、すぐに動くことができず、年末になってやっと注文書を送ることが
できた次第です。
届きましたのは、鶴見俊輔さんの「象の消えた動物園」と川崎彰彦さんの「夜がら
すの記」(こちらはダブり本)でありました。
- 作者: 鶴見俊輔
- 出版社/メーカー: 編集工房ノア
- 発売日: 2011/08
- メディア: 単行本
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はいけないと思って、だめもとで商品検索をかけましたら、上のようにヒットしまし
た。まさかアマゾンで「編集工房ノアの本」がヒットするとは思っても見ませんでし
たので驚きです。
鶴見俊輔さんの本は、わりとでるとすぐに購入していたりするのですが、今回の
ものは、刊行されてから半年近くもたってからのことでした。この本に「同時代批評」
とありましたので、それで敬遠していたもののようです。
この本の第4章は、「ノアの世界」というものですが、このノアというのは、出版社
ノアのことであり、この版元から作品集などを出している著者についての文章を集め
ています。
ちょうど、このなかに「青西啓助に託す」という川崎彰彦さん「夜がらすの記」の
帯に寄せた鶴見俊輔さんの文章がありました。
不思議なことに、この「象の消えた動物園」と一緒に注文していたのは、旧刊の
「夜がらすの記」でした。相当に古いものでありますが、在庫は残っていて、ただし
帯はないのですがよろしいですかと「ノア」さんからお問い合わせをいただきました。
もちろんOKといいましたら、わざわざ帯をカラーコピーしたものをつけていただき
ました。このカラーコピーの帯と、この鶴見さんの本によって、久しぶりに「夜がら
すの記」に寄せた文章を眼にすることができました。
「連作の主人公は、いそがしさという日本病に感染していない、まれなひとりである。
不義理と貧しさとつよい意志によって保てば、こういう懶惰を楽しむ余地が、まだこの
国にはある。」