阪田寛夫全詩集を編む 5

 阪田寛夫さんの作品を16年にもわたって調べ続けるのでありますからして、こうなる
と、ご本人以上に、阪田さんの作品世界に精通するものであります。そうでなくては、
「編者伊藤の責任において定本化して『全詩集』に収録」などと書くことはできません。
先日に手にした小説(文庫本)の著者あとがき(阪田寛夫さんのものではなしです。)
には、「私がこれを読み返すのはじつに十三年ぶりのことで、こうなるともう他人の作
品を読むのとあまり変わらない。」と記されていました。作者だからといって、自分の
過去の作品のことが頭にはいっているわけじゃないですね。むしろ作者だから入って
いなくて、それが頭にはいっているのは、編集者とか熱心なファンのほうであるのかも
しれません。
 「全詩集」の編集についての伊藤英治さんのコメントです。
「もうひとつ編者の責任において変更したものに『全詩集』の構成のことがあります。
『全詩集』の編集が始まった当初は作品の創作順(発表順)に構成することにしており
ましたが、ゲラや新資料を読むにつけて、それでは阪田作品の良さ、面白さを壊して
しまうことに気づき、編者の判断で作品のジャンル別に(章を立ててジャンルの中は
創作順)『全詩集』を構成することとしました。」
 このように出来上がっている「全詩集」を見ますと、発表順の編集よりも、こちらの
ほうがずっといいと思えるのですが、作者が入った編集方針作りでは、発表順で一度は
動き出したのですから難しいものであります。
 ということで、以下に「巻構成」を引用してみます。
 第一部 作品
  1 詩
  2 少年・少女詩
  3 子どもの歌
  4 組曲
  5 舞台作品より
  6 子どもの本より
  7 ホームソング・主題歌など
  8 初期詩稿
  9 未刊詩編
 第二部 年譜・著作目録
  阪田寛夫年譜
  阪田寛夫著作目録
 あとがき
 阪田寛夫全詩集索引

 大きくジャンルでわけると、作品は以上のような分類となるのですが、その間でも
どちらにいれたほうがいいのか迷うことがあるのは、当然のことでありますね。