ブックオフの一冊目

 部屋の片付けをしなくてはいけませんので、あまりものは増やさないように
する、特に本についてはというのが、年のはじめのお約束であります。
とはいっても、いろいろとストレスがたまりますと、その発散のためにてっとり
早いのは、読めないのを承知で本を買い込むことです。新刊の場合は、それなりの
金額となりますが、ブックオフでありますとこどもの駄菓子やのごとくでありまして、
百円玉いくつかもっていきますとけっこう楽しめるのでありました。
 本日の仕事帰りに、ブックオフに立ち寄りました。本日の収穫は次のごとくで
あります。( これが百五円 )

探偵小説十戒―幻の探偵小説コレクション

探偵小説十戒―幻の探偵小説コレクション


 このような本がでているのは初めて知りました。当方はミステリの熱心な読者では
ありませんので、この本が晶文社からでたときに、広告は目にしていると思うのですが、
まったく記憶に残っていません。今から二十年ほど前の晶文社の本ですから、たいへん
立派な犀のマークの本です。
 この本の表紙の折り返しには、次のようにあります。
「 フェア・プレイの精神を高々と掲げて、推理小説作法上のルールを規定したものと
して今日もの名高い『ノックスの十戒』は、このアンソロジーの序文として書かれた。」
 作中人物が「ノックスの十戒」のことを頻繁に話題にする小説を読んだことがあった
な、この作品では、この「十戒」がどのような書かれ方をしているのかくらべてみよう
と思い購入したのでありました。

「『筋書き殺人かね。古い古い」
 藤木田老はあっさりとはねつけた。
 『それに、四つの密室など、とんでもない話よ一つ以上の密室、或いは秘密の通路など
を用いてはならんと、ノックス先生が『探偵小説十戒』の第三項に記しておるのを知らぬ
かな。』」
 中井英夫さんの「虚無への供物」のはじめのほうででてくるくだりからの引用です。