ターミナル駅

 ターミナルいう言葉を日本で一番聞きますのは、バスターミナルという使われ方の
時でしょうか。日本全国では列車が走らなくなっているところが多いわけですし、
ターミナル駅というのは、都市部にしかないのですから、ターミナルという言葉を
耳にしたときには、思う浮かべるのは町の中心部にあるバスターミナルの建物と
そこに集まるバス路線と人々でしょうか。
 このようにしてターミナルという言葉がすりこまれてしまうと「ターミナル
ケア」という言葉とか、映画の「ターミネーター」というのを聞いても意味が
ぴったりとこないことになってしまいます。
 もともとターミナルとは終末とか行き止まりでありますので、そこから先に線路が
あるのに、ターミナル駅というのはなしだよなと思います。
「秀明菊」さんに書き込みをしていただいたとおりで、大阪の私鉄駅には、終着駅の
趣がよりのこっているように思います。( 関東の私鉄でもそうでしょうが、地上は
終着でありながら、地下では乗り入れ列車が通過するというのでは釈然といたしま
せん。)
 終着駅というからには、すべての電車が地下も含めて通過しないでもらいたいと
いうことからは阪急梅田駅が、その良い見本というように原武史さんは「鉄学概論」
で梅田駅の明治から現在にいたる駅の場所のうつりかわりについてイラストで掲載
されています。 
「しかしいずれにしても、大阪駅と梅田駅は直角に交わる位置関係にあることは変わ
らない。つまり百年の昔から梅田駅は大阪駅とは別個にありつづけているわけである。
そして今でも、JR大阪駅から阪急梅田駅に最短で行こうとするなら、いったん外に
出て歩道橋をわたらなければならない。しかもその歩道橋には屋根もかかっていない。
東京の人間から見ると同じ駅といっていいほど近いのに、駅名からして違うし、不自
然なほど無愛想なのである。」
 サービス精神が旺盛であるように思われているのに、「不自然なほど無愛想」で
あります。これをみますと、家のなかで隣の部屋にいくために傘をさす必要がある
安藤忠雄の「住吉の長屋」という住宅についても、このような「不自然な無愛想」が
支配しているのかもしれません。