今年 消えたもの

 「今年の収穫」という時期になってきましたが、当方は年をとってきたせいも
あって、収穫よりも失うもののほうが多くなってきたようです。収穫の反対語と
いうのはなんでしょうか。喪失とかいうことばが頭には浮かびましたが、これは
ちょっと違いますかね。
 今年に消えたといえば、まずは亡くなった人のことですが、これはどこかに掲載
されますでしょう。普通のまちの本やさんでも、姿を消したところは枚挙にいとま
なしでしょうが、これ以上、姿を消さないようにできるだけ近所の本やさんとの
おつきあいを考えなくてはいけませんと思いましたです。
 今年2月に161号で休刊となった「季刊銀花」は報道では休刊ですが、表紙には
終刊号と印字されています。これが創刊されたのは70年春とありますので、当方が
大学にはいった年でありました。さすがに大学生の分際で購入できるような雑誌
ではありませんです。購入したのは仕事についてからのように思いますが、特集に
よって購入したりしなかったりですが、いつからか購入は途絶えておりました。
ただ、書店の立ち見は欠かさずで、特に木島始さんの読書エッセイを楽しみにして
おりました。
 「銀花」は全部で161号ですが、当方は1割くらいしか持っておりません。ブック
オフなどには破格の値段ででているのですが、「杉浦康平」デザインがすばらしい
ので、可能な限り購入するようにしています。(創刊時に560円であったものが終刊
号では1700円になっていました。)
 本日の写真は、最近に破格の値段で購入した「銀花」35号の表紙であります。
1978年刊となりますが、特集は「蔵書票図譜」で、西洋蔵書票のリプリント版が
一枚はさみこまれています。

 この号には、谷沢永一さんの「署名のある紙礫」が掲載されています。
「署名のある紙礫」の元版(浪速書林刊)がでたあとに、「季刊銀花」に連載が
うつったものですが、「銀花」を掲載の場としたのは、終刊号の総目次によりま
すと、75年冬第24号から83年秋第55号であるようです。