予定がかわって

 本日は予定では、午前の早い時間に高速道路をつかって一時間ほど離れた街にいく
ことになっていましたが、事情がかわって、これがなくなりました。
 そんなわけで、午後からは久しぶりのブックオフであります。
 土曜日のこの時間に、このブックオフへと来たのは、あまり記憶になりませんが、
さすがにこんでいまして、ひさしぶりにたくさんのお客でありました。買い物かご
を手にして熱心に本をみている高齢の女性がいまして、これは珍しやです。どのよう
な本を確保しているのかと、気になりましてかごのなかを見ましたら、岩波文庫
赤帯もはいっていまして、おみそれいたしました。当方がはいった時には、すでに
いて、出るときにもまだいましたので気力の充実した女性(たぶん70代半ばくらい)
です。
 当方が、まずたちどまってしばし見ていたのは、1985年くらいにでた「芸術新潮
と2005年ころの「銀花」であります。「銀花」は7冊くらいあり、「芸術新潮」は
10数冊ありました。ともに一冊310円という値段がついていました。百八円でありま
したら、全部買いだと叫びそうになりますが、本日は自重しました。もし残って
いましたら「銀花」から買い続けることにいたしましょう。 
「銀花」は2010年に161号で休刊となりましたので、本日購入のものは、休刊まで
あと3年というタイミングででたものです。
ちょうど150号でありまして、これを記念して「手の国にっぽん」という特集をして
います。これまでの「銀花アーカイブス」という特集などもあり、これはほんとに
ひろいものでありました。
 この「銀花」には、あちこちに興味ある記事があるのですが、そのうちの一つは
「この技に惚れた 六人のものがたり」という特集にありました車谷長吉さんの
湯川書房に出してもらった小説や句集」という文章です。
「昭和58年夏、ふたたび無一物で東京へ出て来て、作家になった。経済的援助をして
下さったのは、当時の西武流通グループ代表・堤清二氏である。ところが、平成六年
ごろから西武セゾングループの経営状態が悪くなり、平成七年三月末には、私は自宅
待機(一年後には解雇)という状況に陥った。四十九歳だった。その夏には芥川賞
候補になったけれども、これも落選。
 けれども世の中には捨てる神あらば拾う神あり。翌平成八年春になると、京都の
湯川書房主人・湯川成一氏から突然お手紙をいただき、七月に『抜髪』を限百部で
出していただいた。うちの嫁はんがいまでもよく言うのだが、これが救いの神だっ
た。」
 この時代は、面倒をみることをしなくなっていますので、捨てる神にも拾う神にも
縁がなしですが、車谷長吉さんに拾う神といわせるのは、相当に思い切ったことで
ありますね。