続「湯川共和国」 3

 林哲夫さんが編集されていた「spin」が終刊することの取り上げから始まった湯川書房
を話題とする拙ブログですが、ありがたいことに林哲夫さんのブログで、言及していただ
いた上、貴重な京都は御幸町時代の「湯川書房」の事務所内部の写真を公開してください
ました。
 先日に拙ブログで書影を掲載した「spin」04号の表紙となっている「湯川書房」と同
じ時代のものだそうです。( http://sumus.exblog.jp/14394187/  )
ここにある写真には、先日に「仙台が親戚」様に書き込んでいただいた「真ん中に40
センチ厚150×100センチぐらいの古木を縦切りにしたものをテーブル」というのも写っ
ていて、これを目で確認することができます。
 こうした新しい情報が、あちこちからたくさんでてきますと、共和国国民は、たいへん
うれしく思うのであります。
 さて、昨日に拙ブログでふれた辻邦生の「北の岬」ですが、「仙台が親戚」様には湯川
展のときの「北の岬」の状態が悪くて申し訳ないと書き込みがありましたが、いまから
40年も昔の本でありますからして、いかに愛蔵していたとしても、手にしていたりします
と、すこしは経年変化があるでしょう。
 当方は、今年の夏過ぎに、湯川展が開催されたことを記念した、自分へのプレゼントと
して湯川書房の処女出版物である「北の岬」を確保することにしました。日本の古本屋で
検索して、一番値段の安い一冊を自分のものとしたのですが、この湯川版「北の岬」には
辻邦生さんのサイン色紙がついたようでありまして、その色紙付きで完本となります。
当方が入手したものには、色紙がついていませんでしたので、それが安価なことの理由で
ありました。サイン色紙だけで数万円になるということです。
 さて、その「北の岬」の雰囲気をあじわっていただきます。
「spin」04号にある「湯川書房限定本刊行目録」には、次のようにありです。
「 限定200部 270×200ミリ 仮綴り装(表紙越前厚口局紙) 和紙装 無双帙
 本文越前別漉き局紙(仏語書名透入) 著者署名(本文紙同じ) 別添付1969.2.28
 記番 1〜20までを、著者、刊行者本としる 記載は200部のうち180部を頒布すると
いう意で、装幀上に何ら異なる処はない。」( 湯川成一の刊行目録による )
 無双帙の写真は、次のものです。

 極力シンプルにして素材の良さを引き出すような表紙です。

 表紙を開くと「辻邦生」さんのサインがはいっています。この本ができあがった時に、
辻さんはフランスへといっていたのですから、このサインは本文と同じ紙に、あらかじ
めサインされたものを綴じ込んだものであります。このサインのほかに、色紙のサイン
がついたものが完本となるとのことですが、このサイン色紙については、販売当初から
付属していたものかどうかがわかっておりません。
( 追記 「北の岬」の作者サインは綴じ込んだものと書いていますが、これははや
とちりでありました。先日に本を手にしてサインのところをさわっていましたら、
このサインが綴じ込みではなく、はさみこみであることがわかりました。しっかりと
ついているように見えたので、綴じ込んでいると錯覚したものです。この挟み込みの
ものがサイン色紙となるのでしょう。)