岩波少年文庫創刊60年 13

 昨日に引き続きで、池内兄弟の対談からの引用です。池内兄は1940年生まれで、
当方よりほぼ10歳年長、対談が行われたのは、2000年3月とありますので、その
時の池内兄と、現在の当方はほぼ同じ年齢となります。
 そうしたことで読んでみますと、次のところに反応しました。
「『岩波少年文庫』は、子どもが読む以上に大人が読んでいるんじゃないですか。
僕は『少年探検隊』という本を書いたことがあります。少年の頃に読んだものを
中年になってもう一度読む。要するに少年の心を探検する。かって自分がどこに
感動したか、あるいはどれを覚えているかということをもう一回確かめると、
二重の読書ができる。そんな試みをやってみたことがあります。・・・
 文化を支えるのは中高年の役割なんですよ。だから暇と小銭をもった中高年層に
支えさせればいいんです。老眼鏡をかけて『少年文庫』を読んでいるのは、『老後
の過し方』や『わりのいい年金の運用術』を読んでいるよりも、ずっとほんものの
文化だと思いますよ。」
 以上は、池内紀さんの発言をつないだものです。
 この対談の最後は、児童書の編集者は、「中高年が読むに足るような子どもの
本づくりをするのが役割」といっています。
 この「なつかしい本の記憶」に収録の「猪熊葉子」さんのエッセイにも、「数々
の楽しい作品に出会わせてくれた『少年文庫』は今でも折々に大きな楽しみを私に
与えてくれている。だからそれは『老年文庫』でもあるな、と思っているところで
ある。」とあります。
 少年文庫は、文字は大きいし、難しい字にルビはふっているしで、むしろ老人に
おすすめであるのかもしれません。
 老人予備軍であります当方も、まずは「ツバメ号とアマゾン号」から「老年文庫」
を楽しむことといたしましょう。
 

少年探検隊

少年探検隊