ゼロ年代の50冊 8

 ゼロ年代の50冊に触発されて記していますが、50冊のリストを見ておりましたら、
04年のものがほとんどないのに気づきました。
 04年にひっかかっているのは浦沢直樹PLUTO」(04年から09年)のみであります。
本当に04年には、ひっかかるものがないのでしょうか。昨日に記した四方田犬彦
「ハイスクール1968」をあげている人がいても不思議ではないのですが、ランクには
はいってこないでしょうか。
 04年に印象に残ったことのメモをみると、次のようなものが、さらにあがっていま
した。
・ 立花隆 シベリア鎮魂記 文芸春秋社

シベリア鎮魂歌 香月泰男の世界

シベリア鎮魂歌 香月泰男の世界

 香月泰男の旧著の覆面ライターであった立花隆が、自分の著書としてあらためて刊行
したものですが、数年前にNHKで放送された香月のシベリアでの足跡を訪ねる立花を
とりあげた番組、そして大々的な香月のシベリアシリーズ回顧展があったことと合わせ
て04年は記憶されています。

・私の昭和史 中村稔 青土社

私の昭和史

私の昭和史

 その後に、続編がでたものですが、詩人、弁護士の自叙伝。これなども04年の
収穫のはずです。

新日本文学の終刊
 戦後文学を語る上では欠かすことのできない「新日本文学会」が解散に向けて動き
だし、文芸誌「新日本文学」が終刊を迎えることになりました。会の解散となったの
は、翌年となるのですが、いよいよ戦後的なものが姿を消すことになっています。
新日本文学会」の解散の提起を行ったのは、小沢信男さんです。提起を行った会の
様子は、上原隆さんが取材していて、幻冬舎のWEBマガジンで今も読むことができます。
http://webmagazine.gentosha.co.jp/ueharatakashi/vol74_ueharatakashi.html   
http://www.pen.co.jp/syoseki/syakai/0511.html
 これより数年たって、小沢信男さんは、次の著作を刊行しています。

通り過ぎた人々

通り過ぎた人々

 ゼロ年代というのは、戦後が終って戦前期に入ったということでしょうか。
戦後ほぼ一貫して政権与党であった自民党が政権をすべり落ちたというのも、これと
符合するのかもしれません。