台風の接近により、当地も朝からひどい雨となりました。すこし風もついていまし
たので、ちょっと心配な庭の見回りをしただけで、あとは家の中で過ごすこととなり
ました。
本日は気になっていることをやってしまわなくてはと、古いVTRテープをひっぱ
りだしてきて、これをブルーレイディスクにダビングしてデジタル化を完了です。
このテープは、1995年9月17日に開催された小沢信男さんの講演会を記録したもの
です。当地の図書館を会場に行われたこじんまりとしたものですが、主催された方か
ら、記録用のテープをいただき保存しておりました。
今回22年ぶりくらいで、この時の講演を見直すことになりました。あまり録音がよ
ろしくないこともあったりして、聞き取りにくいところもあるのですが、小沢さんの
語り口調を楽しみながら、文学とは何かのお勉強をすることができるものです。
当日の会場でメモをとりながら聞いていたのでありますが、今回聞き直して、そう
であるかと思ったことがあちこちにありました。
たとえば、次のようなくだり。
「社会の成熟により作家が市民権を得るようになって無頼な存在でなくなった。現在
はマンガやアニメというサブカルチュアは、なんとなく軽く見られるが、かって文士
が軽くみられたように、これからはマンガやアニメのほうから新しい才能がでてくる
のでは、滝田ゆうなどが登場して文学の表現が拡がったと考える。」
この時点で、小沢さんはちくま編集者の松田哲夫さんとのお付き合いがあったのです
から、こういう視点をもっているのは不思議でもなんでもないかな。
それにしても、それから20年たって、このことはほんとうに実感されることです。
この時の話では、新日本文学でであった作家についても言及されるのですが、北海道
にゆかりということもあって、戦争で亡くなった人の代弁者として長谷川四郎さんの
「張徳義」と戦争未亡人の代弁者として畔柳二美さんの「限りなき困惑」が紹介され
ます。特に畔柳さんは、当地に近い発電所に暮らした方ということもあり、新日本文学
の大御所 佐多稲子さんとの関わりも含めて話がありました。
そういえば、小沢信男さんの「通り過ぎた人々」に取り上げられている唯一の女性が
畔柳さんでありますが、この講演で畔柳さんに言及したところは、ほぼ後年に発表され
た「通り過ぎた人々」の中に記されていましたです。
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のがあって、そこで話題となった作品が「水」という作品です。小沢さんの紹介が見事
なものですから、これは読んでみたいものと思っていましたら、たまたま手近にありま
した「群像 創刊70周年記念号」に収録されていました。作品は1962年5月号に掲載さ
れていたものだそうです。
なんとラッキーなこと、この時の小沢さんの話(佐多さんが「群像」から依頼された
作品が描けなくて、これは締め切りに間に合わないので断りをいれようと連絡をしたら、
編集長からページを開けて待っていますといわれて、ぎりぎりまで追い込まれて書いた
作品であるというエピソード)を参考に読んでみることができました。
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