杉浦康平のデザイン8

 杉浦康平デザインで、次は黒の時代といっておきながら、週末に入手した「銀花」の
ために、話題は雑誌となってしまいました。すこし話しを戻しましょう。
 それにしても、文化出版局からの「銀花」のためには、レインボーカラーを使った
デザインを用意する一方で、河出書房のためには、黒一色のデザインをするところが
杉浦さんが非凡なところです。
 杉浦さんと河出というと、やはり埴谷雄高でしょうか。先日には単行本の「闇の
中の黒い馬」についての、臼田さんの文章を引用しましたが、当方にとって埴谷本と
いえば、次のものでしょう。

 これの装幀は圧倒的でありますが、当方は埴谷作品には、なじめないものを感じて
おりましたので、本体は購入することなしで、内容見本を集めて、本体は書店で手に
するだけに終りました。この作品集の装幀は、それからの埴谷本のデザインの方向を
決めたといってもいいもので、会社がかわってもこの雰囲気は引き継がれたのでした。
 この前における埴谷本といえば、未来社からでている「墓銘と影絵」という作品が
はいっているシリーズのものでありましたが、あのタイトルからは、埴谷らしさを
感じるものの、装幀は普通のものでありました。

 この作品集の本文が黒字に白抜きとなっているわけではないのですが、この内容
見本を見ますと、そんな錯覚をしてしまいます。いかにも埴谷世界へのガイドであり
ます。