あれこれ装幀の話

 昨日に話題にした「<美しい本>の文化誌」に書き込みをいただいたもの

ですから、本日も引き続きで話題にすることにです。

 「装幀 装釘 装訂 装丁」と表記があって、手近にある本がどのように

なっているかと、のぞいてみることにです。

「<美しい本>の文化誌」は、あっさりとブックデザインとなっていました。

版元が「Book&Design」というのですから、これでいいのですね。

 カラー口絵のところにある本には、「装幀」と記されているものが多くて、

杉浦康平さんのものには「造本」とあって、羽良多平吉さんのものには造本

設計とありました。

 編集工房ノア山田稔 自選集 3」は装幀とありです。金井美恵子さん

の「カストロの尻」は、金井久美子装幀となっていました。笙野頼子さんの

「会いに行って」も装幀ですね。「コンビニ人間」は装丁で、これは最近の

本では多くなっているのかもです(当方の読むものでは、少数派かな)。

 本日の短時間の調査で見つけることのできた「装釘」本についてでありま

す。この本にデザイナーについて、臼田さんは、次のように書いています。

「建築家、白井晟一は私たちのような世代にとってカリスマ的存在である。

・・戦後では中央公論社の仕事が特筆される。同社社主、嶋中雄作の別荘を

設計した縁もあり、ふたりの絆の強さを示すものだろう。

同社刊の神西清『灰色の眼の女』や広津和郎『自由と責任とについての考察」

などは、抑制された知的な構成が、地味だが深い味わいをたたえている。

中公新書』はアルカイックな人物像など西欧の伝統的なエンブレムのよう

にあしらっている。『中公文庫』の表紙とトビラの装画からは、白井が愛し

た、はるかなロマネスクの時代の薫りがにおい立つ。」

 当方が持っている白井晟一さんが関わった本は、神西清さんの「灰色の眼

の女」でありまして、中公文庫本とあわせて元版を写真におさめようと思っ

たのですが、文庫が見つからないので、元版のほうだけをパチリです。

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 ページを開いたのどもとのところに、装釘 白井晟一とありました。

哲人建築家といわれた白井晟一さんは、どこまでも控えめでありますね。

ほんとうに、この元版はおすすめの一冊なのですよ。