創業40周年 5

 朝日新聞と「本の雑誌」が「国書刊行会」創業40周年でコラボ企画になっていると
いうお話であります。「本の雑誌」2012年10月号の裏表紙は、「国書刊行会」の全面
広告となっています。

 この広告の真ん中にあるのは、創業以来のロゴマークで、「七賢人を乗せて<知の
大海>を渡る船をイメージしています。」とありました。
 今回の「本の雑誌」は、大きくない出版社好きにはたまらないものであります。
この特集には、目次に続いて30ページに近くさかれているのですが、当方が一番喜んだ
のは、「国書刊行会 魅惑の内容見本」という高橋良平さんの文章です。
「ご多分に漏れず、ぼくが国書刊行会という、およそ商業出版社らしからぬ名の版元を
知ったのは、『世界幻想文学大系』がスタートしたときだった。初回配本の第十五巻、
ボルヘスの『創造者』を1975年5月13日、神保町の日本特価書籍で入手している。」
 そうか、『創造者』がでたのは75年5月でありましたか。当方は74年3月に京都の下宿
を引き払って田舎に戻って4月から仕事についたのでした。ちょうど就職してから1年後
のことでした。
「『世界幻想文学体系』が出ることは、どこかの書店で、たまたま内容見本を手にいれ
ていたから、事前に知っていた。
 この内容見本が意表をつくB2判の四つ折り、つまり、書店ポスター兼用になるもの
で、と書いたところで、現物を確かめようと探すが、あるべきはずのファイルケースに
見あたらない。・・・
 記憶では、全集の造本と同じく杉浦康平+鈴木一志のデザインのようで、赤と緑の刷
り色が禍々しくも幻想的、スミの文字組みは斜めに走り、裏面には、堂々たる幻想文学
系統樹が聳え、全集収録作品がどこに位置するか、ひと目で解る仕掛けなのである。」
 ひょっとして、この内容見本はなかったろうかと、押し入れの収納箱をあけてみまし
たら、なんとまあものもちのいいことか、このB2判四つ折りのものがでてきました。

 いまから四十年近くも昔に、ただでもらった内容見本で、こんなに楽しめるなんて、
こうした全集を企画し、内容見本を作成した編集スタッフに感謝しなくてはいけません
です。