国語の教科書8

 筑摩「現代国語」2年生の教科書で一番印象に残っているのは、梅棹忠夫の「発見の
手帳」です。岩波「図書」の65年4月号に掲載されたものですが、この「図書」での
連載は、その後「知的生産の技術」(岩波新書)としてまとめられたはずです。
この新書は、当時の学生にとっては必読のものでありましたが、いまではどうなので
ありましょう。コンピュータがなかった時代には、定型のカードサイズのメモに記載し
て整理とかをしたものですが、あの時代には、こういう手法しかなかったものの、この
時代に定型カードを利用している人なんているでしょうか。かっては、どこの図書
館にいっても、蔵書を調べるとなると、定型の図書カードのファイルのなかから目的の
本の情報が記されているカードを見つけ出さなくてはいけなかったのです。このカード
は、ちょっと間違ったところに収納してしまうと、見つけ出すのにとんでもなく時間を
必要とするのでした。「知的生産の技術」には、ほかにもかなタイプをすすめるという
ような文章もあったと思いますが、自宅のどこかにはあるものの、いまはでてきません。

知的生産の技術 (岩波新書)

知的生産の技術 (岩波新書)

 この時代の梅棹忠夫のかっこうのよさといえばなかった。行動的な学者でありまし
て、その知的なスタイルを真似したいと思った人も多かったでしょう。