今年買った本4

 今年最後に購入した本は、つぎのものです。

海民と日本社会 (新人物文庫 あ 3-1)

海民と日本社会 (新人物文庫 あ 3-1)

 この本の帯には、「視点を変えると新しい日本の歴史が見えてくる。」とあります。
表と裏というのは、光のあてかた一つでがらっとかわるということですが、日本海側の
ことを裏日本というようになったのは、どうしても江戸が東京になってからのことで
あるとしか思えません。
朝鮮との交流や北前船が運んだ物と文化の豊かさを考えると裏なんていえないでしょう。
 なにわが日本の台所といわれた時代には、北前船が寄港するまちのことを大事にした
ことでしょう。
 当方のふるさとに関しては、次のようにあります。
「 海の道は西方、西南方だけでなく、北海道、サハリンなど北方にも通じており、
このころまでに北東アジアからオホーツク文化が北海道に流入したことからも知られる
ように、交易のルートは北方にもつながっていた。」
 北海道からは、良質の昆布などが大阪に運ばれて、それが大阪の名物になっているの
でした。
「こうした神饌とされた海産物のうち、鰒 熨斗鰒は『熨斗』として贈物を象徴する
ようになり、鰹(鰹節)、鮭(荒巻)、海藻(海苔、わかめ、昆布)等は現在にいたる
まで贈答品の中心的な品物であるだけでなく、いわば日本料理の味の基幹となって
いるが、その源流はきわめて古いのである。」
 結納につかう縁起物の品々は、貴重なものを送りますというメッセージでありますが、
そのなかに海産物が多いことでも北前船の役割がわかることです。
 今年購入した本には、そのものずばりのものがありました。 
http://www.mumyosha.co.jp/docs/02new/kitamae.html
 秋田の無明舎のものですが、秋田の人々は、網野さんの歴史観には、我が意を得たりと
いうものでありましょう。

 本年は、これでおしまいです。なんとか1年を通して続けることができました。
 拙ブログをごらんいただきました皆様に感謝いたします。
特に、書き込みをいただきました皆様には、来年もよろしくお願いいたします。