加藤周一著作集 3

 加藤周一著作集(平凡社刊)で未刊となっている18巻について話題にして
おりましたら、この巻に掲載を予定していた文章の「まえ書き5枚」が自宅
で発見されたというニュース記事に行き当たりました。今年の9月の朝日新聞
のったものということですが、まったく目にとまっておりませんでした。
http://www.asahi.com/culture/update/0912/TKY200909120116.html
 この未発表の文章は、「岩波書店が17日から刊行を開始する『加藤周一
自選集』の第10巻に収録される。」とありますが、もともとは18巻のための
ものではないかなです。
森鴎外 斉藤茂吉  木下杢太郎」の三人に共通のことは、なにかですが、
もちろん医者で、文学者で、岩波書店から全集を出していて、あとはなんで
しょうか。(朝日新聞のネットでも森鴎外とありましが。これからは鴎外の
ことを正しく表記することはできなくなるのでしょうか。鴎外の鴎は、この
字ではないですね。木下杢太郎は、はてなに登録がありませんでした。
林達夫の「反語的精神」の書き出しには「この稀に見る文化人の真価が今の
青年たちにはさっぱりわかっていないから、ぜひ彼らの前にその解明をして
やる必要がある・・」とあるのですが、この文章は昭和21年のものです。
それから60年 木下杢太郎を「百花譜」でしか知らないのでしょう。)
 加藤周一さんは、途中で医師をやめてしまうのですが、それでも、この三人
の山脈につながる存在として自分を位置づけようとしていたのでしょうか。
斉藤茂吉についての文章は、加藤周一著作集に収録されているとのことですが、
ここでは、加藤周一斉藤茂吉全集内容見本に寄せた小文から引用しましょう。
「 斉藤国手は私の父の友人であった。息子の嗜好は、しばしば父とその世代
の様式に抗う。しかししばしば祖父の業績を再発見する。今日の青年にとっては、
斉藤茂吉はすでに祖父の時代に属するに違いない。再発見の時到る。」
 この内容見本は73年であります。茂吉は1882年生まれですから、たしかに
当方にとっては祖父の世代であります。