本日はブックオフへ

 本日の仕事をすこし早くに切り上げ、帰りにブックオフに立ち寄りました。
ブックオフへの立寄は週末を迎えた金曜の夜としていましたが、なんとなく
金曜日の夜にはせどりの方々の巡回がおわっているようで、食指が伸びるものが
少ないように感じるのでした。本当のところは、わからないのですがお休みの日の
午前に店にいったら、メモと見比べながら本棚をチェックしている人の姿をみかけ
ますと、こういうなかから掘り出し物を見いだすのは大変であると思うのであり
ました。
 本日は、最近には珍しく収穫がありました。だぶりであるのでしょうが、本日は
かまってなしです。

 一番最初に手にしたのは、昨日に話題としていた「古山高麗雄」さんの古い作品集
で「点鬼簿」でした。79年3月 講談社刊です。ちょうど30年前の新刊ですが、
この時代の本はよかったな。これは半額の棚にありました。
点鬼簿」ということばは、この小説集のタイトルとなって、初めて知りました。
この小説集がなければ、この言葉を知らずにおわったでしょう。辞書を見ると
過去帳のこと」とあります。「父、竹馬の友、戦友、自殺者、知人、囚人、女」と
いう章からなります。
 「父」という小説には、次のようなくだりがあります。
「 私の年齢はまだ父の没年には達していないが、母が死んだ時の父の年齢に
近づいた。父と母とは八つ違いであった。母が死んだとき、父は59歳で 
あった。私は今年の8月6日に満57歳になる。・・・・
私は、妻に先立たれた自分の姿を想像して、父の姿を重ねてみるのである。」

 次に手にしたのは百五円の棚にあったのですが、野呂邦暢さんの「草のつるぎ」
初版であります。帯はありませんが、本は大変きれいなものでして、どうしてこれが
百五円なのだとクビをひねって飛びつきました。芥川賞の受賞作品で、受賞後にでて
いるせいあって、入手は難しいものではないけれど、それでも破格の値段であり
まして、帯なし美本を安価で探しているひとには垂涎のものでありましょうか。

 もう一冊百五円で見つけましたのは、沢木耕太郎「一瞬の夏」新潮社の新装版で
した。これは書影があるかなと思ったのですが、でてこないようです。94年の
ものであります。ペーパーバックで安っぽいつくりとなっているのが好ましいこと
です。定価2500円で、特に難なしですからして、これもべらぼうなことです。
 ブックオフの棚をみておりますと本を出して生活することの大変さを感じること
です。