榛地和装本4

 小生の手元にある「榛地和装本」は、数ヶ月前に「日本の古本屋」を通じて入手した
ものでありますが、こちらのサイトでは久しぶりに見つけたものでしたので、即刻、
注文をいれたのでした。これには、謹呈 著者という短冊が貼られているのですが、
そこには藤田三男さんによって、謹呈先の方のお名前がありました。これがどういう
人であるのかまったくわかっていないのでしたが、本日になって気になり、この方で
検索をかけましたら、著名な写真家であることがわかりました。この写真家さんは、
文士のポートレートを得意にしていて、三島由紀夫の写真集などもある方のようです。
 この写真家について検索結果を見ていましたら、この方を師匠という写真家さんの
ページにいきあたりました。弟子という写真家の名前を見ますと、あれっどこかで
聞いたことがあると思いました。
 まったく思いがけないことでありますが、この弟子という写真家さんは、当方の弟の
高校同級生でありました。今から20年ほど前に紹介されてお話をしたことがありま
した。お弟子さんは社会派と思っていましたが、そうではない一面いうのもあったの
ですね。
 師匠の写真家は2002年に亡くなって、その奥様も数年前に亡くなったことで、
この本が市場にでるようになったのでしょうか。西早稲田古書店のシールがあり
ました。
 この「榛地和装本」には、師匠となる写真家に言及したところはないのですが、
この本の「はじめに」には、次のようにあります。
「 この装本集は、これまでの装本の中から、愛着のある五十冊を選んだ。期間は
三十年以上にわたる。時間こそ長いが、もとより素人の痴れ技にすぎない。
 間に挿入した文章も、言わずもがなの昔噺である。しかし、一冊の本を『手づくり』
でつくった時代ー著者、ブックデザイナー、画家、カメラマン、校正者、印刷社、
製本者、編集者が一丸となって精を出した時代を共に懐しむ。
 還暦を迎えての、私の感傷として読んでいただければ幸いである。」
 
 この本が、師匠の写真家に贈られたのは、一緒に仕事をしていた時代を記念しての
ことなのでしょう。