最近の本から 2

 このところ、普通の新刊文庫本を手にするのが難しくなっています。新聞などにのる
文庫本の広告をチェックしているのですが、これはと思うものがあまりないところに
もってきて、たまにあっても、足を運ぶ書店には入荷しないということになります。
なんともはや苦戦は続くであります。
 新刊の文庫本であっても売れ筋のものは刊行部数が多いので、足を運ぶ書店にも
ならぶのですが、そうしたものに、当方はほとんど食指が動きませんで、入荷しない
文庫をもとめて何軒かの書店をめぐるということになります。
 最近の新聞広告で一番驚いた文庫本は、なんといっても、次のものでありました。

 中公文庫のプレミアムシリーズであります。このシリーズは、昨年からではじめた
もののようですが、これまではほとんど気にとめていませんでした。
それにしてもよくぞ「やちまた」シリーズに加えたものです。中公文庫プレミアムの
編集部のブログに「やちまた」の紹介がありました。
( http://chukobunkop.hatenablog.com/entry/2015/03/26/174640 )
 この「やちまた」は、1974年に新刊として河出書房からでて、90年に新装版がでて、
1995年には朝日文芸文庫にはいり、2015年に中公文庫プレミアムですから、ほぼ20年
ごとにこの作品には光があたるようです。著者の足立巻一さんは1985年に亡くなって
いるのですが、この作品が長く読み継がれるようになったことを喜んでおられるで
しょう。
 この本のことについては、河出の編集者であった藤田三男さんの「榛地和装本」を
話題としたときに、言及しておりました。当時24歳の当方は、この作品を読んで圧倒
されたのでありました。それ以来、通して読み返す機会がないのですが、今回の文庫
はどのように受け入れられるのでありましょうか。
( http://d.hatena.ne.jp/vzf12576/20091014  )