書肆ユリイカの本4 

 田中栞さんの「書肆ユリイカの本」のあとがきには次のようにあります。
「 本書は書肆ユリイカが出版した書物そのものについて検証した一冊である。
取り上げているのは書肆ユリイカの本だが、内容である詩や著者である詩人に
ついてほとんどまったく語っていない。この点、詩出版社としての書肆ユリイカ
関心をもつ皆さんには、心からお詫びするしかない。ただし、本や出版や書店に
ついて、そのつくりや現場の様子に興味のある人にはきっと楽しんでいただけると
思う。」
 この本は、書影が豊富な上に、書名、人名索引がついていますので、資料としての
利用価値は大変大きいものがあるといえます。
「 この十年余りで、筆者は書肆ユリイカの本を、・・おそらく千冊は手にしている
が、驚くべきはそのバリエーションの多さである。伊達得夫が外装を手作業で仕上げた
こともその大きな要因の一つだが、戦後の同じ出版社からでた同じ書名の本、それも
同じ奥付の本でありながら、『同じ本』とは到底言いがたい様々な相違。・・・
筆者はこのような次第で出版、印刷、製本の視点からのアプローチに徹している。」

「詩出版社としての書肆ユリイカ」に興味をお持ちの方には、「詩人たち ユリイカ
抄」とか「われ発見せり」長谷川郁夫著(当時、小沢書店社長) 書肆山田刊があり
ます。

詩人たちユリイカ抄 (平凡社ライブラリー (558))

詩人たちユリイカ抄 (平凡社ライブラリー (558))

 長谷川郁夫さんは、「われ発見せり」で次のように書いています。
「 装幀の仕事は、『遊び』(ブリコラージュ)として、かれのもっとも得意とする
ところだった。三十三年四月には、詩学社、昭森社との共催で『詩書装幀展』を
開いて、出版物を展示即売したりした。書肆ユリイカの詩集には変型版が多い。かれの
工夫によるものなのだが、それには、入手した用紙の大きさにあわせて本の体裁を
きめた、という事情もあったのではないだろうか。」
 「書肆ユリイカ」から詩集を刊行した人たちは、伊達得夫さんについて、なにか
書き残しているのでしょうか。飯島耕一さんは、どのような文章を残しているのか、
どっかにあったでしょうか。