気になる本

 最近でたもので一番気になった本は、次のものであります。

狂うひと ──「死の棘」の妻・島尾ミホ

狂うひと ──「死の棘」の妻・島尾ミホ

 この本のことは、新潮社「波」11月号で知りました。この本の副題は「『死の棘』
の妻・島尾ミホ」となります。
「波」11月号巻頭には、この本の著者 梯久美子さんと司修さんの対談「不朽の名作
『死の棘』の謎を解く衝撃大作」とあり、その次には川村湊さんの「比類ない愛の
神話の解体」という文章がおかれています。
 島尾敏雄さんの代表作「死の棘」ですが、いまは新潮文庫でも容易に入手でき、映
画にもなっているのですが、当方は確保はできているものの、いまだ読むことができ
ていません。夫の女性問題で、家庭内に波風がたって、妻が精神を病むというような
作品は、あまり読んで楽しくないものですから、ついつい敬遠してしまっているよう
です。
死の棘 (新潮文庫)

死の棘 (新潮文庫)

「死の棘」日記 (新潮文庫)

「死の棘」日記 (新潮文庫)

 島尾さんは、庄野潤三さんの文学仲間でありますが、庄野さんが円満な家族の有様
を作品に描いているのとは対照的なことでして、島尾さんの息子さんからいいますと
島尾家は「月の家族」となります。
月の家族

月の家族

 島尾夫婦の子どもにうまれるというのは、できれば避けたいことでありますね。
「波」の見出しには、次のようにあります。
島尾敏雄『死の棘」に書かれた愛人は誰か?
 本当に狂っていたのは、妻か夫か
 膨大な未公開資料により、妻・ミホの生涯を辿る決定版評伝を書いた梯久美子氏が、
かって『死の棘』の装幀をした司修氏と語り合った。」 
 「波」の見出しを眼にしただけでも、興味をひかれますが、対談を読んでみるとさ
らにであります。