「書肆季節社と政田岑生」さんのことを知ったのは、昨年の7月に湯川書房に
ついて「仙台が親戚」様から教えていただいていたときのことでした。
限定本のプロデューサーというのは、細部へのこだわりが尋常ではないのですが、
「書肆季節社」のオーナーであった政田さんは、自分が制作した限定本に摩耗した
活字での印刷することをゆるさなかったとありました。
はてなブログは、言葉で過去のブログを検索することができるのですが、
拙ブログに「政田岑生」さんの名前をいれて検索すると、この方のお名前が
数回あがってくるようになっています。たとえば、次のようなものであります。
http://d.hatena.ne.jp/vzf12576/20080726
http://d.hatena.ne.jp/vzf12576/20080803
政田さんで驚くのは、限定本の版元であり、自らも詩作を行っていたいたのですが、
これというのは政田さんの余技でありまして、昼間の顔は、損害保険会社の給料とり
であったということです。広島、名古屋、大阪と転勤をしながら、本の制作を行って
いたことが本当にすごいことです。
湯川書房の湯川成一さんは、大学を終えてから大阪の証券会社に勤務していた
のですが、会社勤務のかたわら限定本を制作されていて、どっちかやめなといわ
れて、会社を辞めたという逸話が残っています。一方の政田さんは、ずいぶんと
会社勤めを続けていたようで、仕事を普通にやっていたとしたら、自由になる
時間のほとんどすべてを詩作と本の制作につぎ込んでいたと思われます。
先日に入手した書肆季節社刊「編集中記」 今井田勲著というのは、限定本では
なくて一般書です。
奥付は、次のようにあります。
1981年1月15日 第一刷刊
著 者 今井田 勲
発行者 政 田 岑 生
発行所 書 肆 季節社
印 刷 精 興 社
製 本 三 水 社
製 函 栗 田 製 函
装丁はクロスを使った上品なもので、本の背文字をみますと、みすずの本のような
印象を持ちます。この本は、函に3000円とありまして、そのような値段で販売
されていたことがわかります。どのくらい刊行したのでしょうか、5百部くらいかなと
思うのですが、これははっきりとわかりません。
政田さんが45歳くらいのときの仕事でしょうか。
著者の今井田さんは、文化出版局のボスですが、この「編集中記」というのは、
「ミセス」という雑誌に連載のエッセイをまとめたものであります。