書肆季節社の本8

 今井田勲さんの「雑誌雑書館」 書肆季節社 80年刊は、限定500部、定価
1万円とあったのですこし豪華なものかと思いましたが、こったつくりではある
ものの、特別な限定本ではありませんでした。布クロスで、500ページをこえる
大冊となっています。まずは、この本の奥付けから。
「 雑誌雑書館奥付 著者今井田勲 本書は500部限定刊行 頒価1万円   
 発行所 書肆季節社
 (〒 465) 名古屋市名古屋市名東区神里2丁目73番地
 電話 701局 
 印刷 精興社 青木勇 製本 町田素雄 製函 加藤三吉
 著者の検印をもって限定刊行の証とし1980年8月1日 付梓する。」

 書肆季節社の政田さんんはこだわりの人でありますから、印刷の担当者なので
しょうか、精興社の青木さんほか、製本と函造りの担当者のお名前を掲載して
います。先日に、印刷工程では印刷工場の人たちは職人技で美しい印刷物をしあげて
いるにもかかわらず、こうした職人さんが著者から名前をあげて感謝されることは
ないと記しましたが、この本では、そこにも目配りがいっています。
 今井田勲さんのあとがきには、つぎのようにあります。
「 季節社の政田さんとは『季刊銀花』などを通じて、かねてから昵懇に願っており、
先般の著書『鶏留啼記』(湯川書房刊)の出版のときも政田さんのお世話になった。
その政田さんが、自分の社からわたしの本をだしたいが、原稿はないかといって
こられた。
・・・
 この本の編集は、いっさい政田さんにお任せした。編集を本業としながら、私は
この本については一言も口をはさまなかった。それが版元に対する著者の礼儀で
あろうと考えたからである。
 その結果は、このような見事な本として実った。これはひとえに政田さんの功に
帰すべきである。」
  
 この本の場合は、全部売ったとすれば500万円となる計算ですが、そんなに
売れるとは思えずでありまして、政田さんは、この本をだすことでどのくらいの
自己負担をしていたのでありましょうか。