「父の娘」というのは、矢川澄子さんの本のタイトルです。
とっても偉大な父に溺愛された娘について肖像ですが、この本でとりあげられた
のは、「森茉莉」と「アナイス・ニン」でありました。
この二人のことを書きながら、矢川澄子さんは、自分のことを語っているので
ありましょう。元版は筑摩書房からでておりましたが、いまは平凡社ライブラリーに
はいっていて、容易に入手することができるようになっています。
「父の娘」たち 森茉莉とアナイス・ニン (平凡社ライブラリー) [ 矢川澄子 ]
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- 価格: 1,026円
未収録エッセイをまとめた「いづくへか」が筑摩書房からでています。
書名となった「いづくへか」は、与謝野晶子の次の歌によります。
「 いづくへか帰る日近きここちして
この世のもののなつかしきころ
いづくへか。この十年あまり、わたし自身いく度このうたをつぶやいてみたことか。
つぶやくどころではない。引用も再三に及んでいる。最初に使わせてもらったのは
十年前に出した戯れ唄集のなかのバラードの一節で、<・・晶子>を<・・アリス>と
もじったにすぎないのだが、はたして幾人のひとが気づいてわらってくれたことか。」
この文章は、83年「ちくま」で発表されたものですが、「兎とよばれた女」が
刊行されたときに書かれたものです。
澁澤龍彦との結婚を解消してから、その時代のことを文章にできるまでに、相当な
時間を必要としたとありますが、澁澤龍彦と比べると「父の娘」である矢川澄子さんの
ほうがずっと傷つきやすかったようです。