湯川書房 湯川成一の仕事5

 冊子「湯川書房 湯川成一の仕事」を見ておりましたら、ずいぶんとたくさんの本を
手がけているのに驚きました。昨年に目にすることができた限定本のほかにも私家本、
自費出版としての限定本目録というリストがありまして、ここには、次のようなものが
ありまして、興味をひくことであります。
「 時里二郎 『詩集・肖像』 限定50部 制作 湯川成一 見返し染布 望月通陽
 印刷 創文社 製本 須川製本 
  内12部特装本 挿絵版画、構成 柄澤斉 造本 大家利夫 」
 これは86年から87年にでたもののようですが、ここにある望月通陽とある方は、
最近、光文社古典文庫の表紙カバーの挿画で良く目にするかたであります。小生は、
書店で光文社古典文庫を手にすることがありましたが、この表紙カバーに挿画を寄せて
居る人がどのような人かはまったく知りませんでした。湯川書房とは、20年以上も
前からのおつきあいであるようで、その当時とくらべるとずいぶんとメジャーな存在と
なったことです。
 湯川さんの好みの作家は、ご本人よりも年長の方が多かったようですが、限定本に
ふさわしい作品を見いだすのは、大物作家であるほど、大手の出版社に抑えられていて
大変であったようです。それとくらべますと、限定本に版画作品などをよせていた美術
家は、本当の意味での若手となっていまして、むしろ本のプロデューサーとしての湯川
成一さんは、若手美術家のために格好の場所を提供したといえるかもしれません。