「いっぴき狼」湯浅芳子

 本日の朝日新聞朝刊に「第1回 小田島雄志・翻訳戯曲賞」の受賞式についての
記事がのっていました。この賞は、優れた翻訳戯曲を対象にして選ばれるのだそう
ですが、選考委員は小田島さんで、賞金も自費で工面するのだそうです。
賞金は10万円だそうで、受賞者が2人の場合は、合計20万円となるとのことです。
スポンサーの意向に関係なく、ただ一人の選考委員である小田島さんが評価すると
いうことで決まるのですから、大変わかりよいものです。
 それにしても翻訳戯曲に対しての賞というのは、とても珍しいものであるなと思い
ましたら、この賞は昨年に15回の歴史を閉じた「湯浅芳子賞」を引き継いだ形で
設立したものなのだそうです。
 チェーホフの戯曲作品の翻訳者でもある湯浅芳子さんは、明治29年生まれとのことで
ありますから、小生の祖母と同年となりますが、とにかくスケールが大きいというか、
一緒にいたら、辟易となること間違いない存在であります。きわめてユニークな彼女は
自ら「いっぴき狼」を自称し、人間関係をうまくいかせることには、興味を示さず、
あちこちに迷惑をかけっぱなしという人でありました。
 湯浅芳子さんについては、瀬戸内寂聴さんが「孤高の人」という著書をあらわして
いますが、彼女のわがままぶりについてたっぷりと書かれているのですが、湯浅さんの
ような女性を御せる男性は、ほとんどいないぞと思ってしますのでした。