勝てば官軍かな

 昨日の話題は、アカデミー賞で日本の映画作品が二部門で受賞したことですが、
ここでは、特に「おくりびと」に拍手をおくるのでありました。
 最初は心配したこの映画ですが、興行収入はともかく評判はとってもいいので、
ひょっとして受賞するのではと思っていたのですが、普通の日本映画が評価された
のがいいことであります。
 昨日に届いた文芸春秋社「本の話」にある吉行和子さんの文章には、この映画に
出演している立場から次のようにあるのでした。
「制作したときは、ほんとにささやかな映画として出発した。主演した本木さんが
十年以上も前に読んだ納棺師の手記に感銘を受けて、納棺師を主人公にした映画を
つくりたいという思いをもったが、どの映画制作会社にも『そんな話、誰も観ない』と
断られ続けていた。一昨年やっと『上映館も約束できないがやってみたら』と十年ごしで
実現し、かなりの低予算で撮影が開始された。
 東京での公開初日を前に、モントリオール映画祭でグランプリ受賞というニュースが
入った。しかし関係者は一人も現場にいなかったという珍現象。
しぶしぶ配給を引き受けた会社の人は、フィルムだけは送ったが、まさか賞を取る
なんて、誰一人思わなかったのだろう。
 公開後のパーティで本木さんが『子供たちから、お父さんはいつも憂鬱そうな顔を
しているといわれていますが、これで少しは明るい顔をみせられるでしょう。』と
控えめに語ったのとは対照的に、配給会社の人たちは『この企画をもってこられたと
きは困ったが、これで上映館も増えるし、今日だけでも何億、このぶんでいくと
何十億、いや何百億』と大変な盛り上がりだった・・
作った側と配給していく側とのギャップはますます大きくなっていく。」
 この配給会社は、松竹でありますが、ここずっとヒット作がなくて、昨年は東宝
「ポニョ」であたっただけに悔しい思いをしていたと思いますが、まさにたなぼた
ヒットであります。なんといわれようと、勝てば官軍でありますか。
 しかし控えめに語る本木さんは偉い。さすがきききりんのむこさんであります。
 余貴美子もレッドカーペットにいたのですが、あまりライトは当たらなかったようで、
小生は広末さんよりも、余さんのほうがずっと好きであります。