読書アンケート

 「みすず」読書アンケートが届いたのをちびりちびりとみております。ずっと昔は
えらく格調高い本がならんでいましたが、最近は、アンケートに回答を寄せる人の
幅が広くなったせいで、くだけた感じのものも並ぶようになっていました。
 つい先日まで、「本の雑誌」09年1月号の読書アンケートを見ていたのですが、
ここにとりあげられている本との一致があったりして、「みすず」がサブカル系の
本の雑誌」と同じものが取り上げられるのかと時代の変化を感じたものです。
共通して取り上げられているのは、名前は目にしたことはあるのですが、まったく
読んだことはない著者のものですが、どのような内容のものでしょうかね。
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 小生のアンテナは、ここ10年くらいは錆びついておりまして、新しい書き手とは
ほとんど幸せな遭遇をしておりません。はやり歌でいうと、アカペラはいいが、
ラップ系はいけないという具合でありまして、若手の書き手というのが、小生の中
では40代で固定されています。
 上記の中原昌也さんの本が紹介されていたのは、「本の雑誌」が先でありました。
取り上げているのは、島田和俊さん(河出書房新社)です。
「ここ数年、私にとって一番大切な批評家は中原昌也だった。彼の薦めるものに外れ
ナシ。その背後に、四年近いこの「日録」に登場する膨大な固有名詞が存在した
わけだ。原稿料を注ぎこんでレコードや本を買い込み、新宿で飲み歩き、金がなくなる
と電気も通じないアパートに閉じこもる。先般文学との訣別を宣言した元作家の日常は
小説そのものだ。」
 中原昌也さんという方は、新人賞などを受賞した作家ですが、これをみますと文学
との訣別宣言をしたとありますので、当分は作品を発表しないのでありましょう。
この本も、発行所をみますと、ほとんどインディーズの雰囲気がすることです。
 「みすず」で取り上げているのは、鈴木布美子さん(映画史)というかたです。
紹介文には、次のようにありです。
「 これは日本文学史上、最もユニークな日記文学かもしれない。その記述は、
興味のない人にはほとんど意味のないマイナーな音楽や、映画の業界に生きる人々との
交遊、そしてCDやDVDの購入、鑑賞の記録が大半を占める、CDを買いすぎて金欠に
なり、手持ちのCDを売って金を作るが、それもまた別のCDにばけてしまう。
 そうした自分にうんざりしながら、そこから抜け出ようとしない『私』の日常が
醒めきった文体で綴られていく、自己嫌悪に満ちた鬱々としたエモーションと、
映画や音楽への無償の愛情。その終わることのない反復がひどく楽しい。」
 たぶん、この町の本やでは注文をして、しばらく待たなくては入手することが
できないようなものでしょう。ネット書店では、このリンクのように在庫が確認
できまして、ネット世界の便利さを感じるとともに、待たされることの楽しみの
ようなものがなくなってきていることも実感されることです。