ことしのおすすめ

 かっては、この時期に「リテレール」が、「今年のおすすめ本」についての特集を
だしていたのでありました。雑誌「リテレール」が休刊となってからも、別冊のほうは、
数年間は続いてでていたように思います。あれはあれで「読書案内」として貴重なもので
ありまして、あれがなくなってからは、すこし淋しい思いをしています。
 雑誌の『ダカーポ」は、完全保存版と表紙に刷り込んで「今年最高の本」という特集を
しています。いつもの表紙ではなく、なんとなく高級感あふれる表紙でありまして、値段
はいつもより高いはずです。この裏表紙には、99年から「ダカーポ 書評担当者が
選んだ最高の本 ベスト3」というのがのっていました。この「最高の本」というのは、
年末恒例の企画であるようですが、「1年前に休刊した『ダカーポ』が、特集編集版に
パワーアップして還ってきました。」とありますので、これからは、毎年でると考えて
いいのでしょう。昨年の書評担当者が選ぶ「最高の本 ベスト3」のリストにあるのは、
次のようなものでした。
 「 悪人 」         吉田修一  朝日新聞社
 「 生物と無生物のあいだ 」 福岡伸一  講談社現代文庫
 「 滝山コミューン1974」 原武史   講談社  

 原武史さんの著作をのぞくと、このようなリストで署名または著者名を頭にすりこま
なくては、手にすることもなくて終わりそうであります。時間がなかったり、自分の
感性に不安を抱くようになったら、とりあえず、このようなの「ダカーポ」ベスト3を
参考にして、新しい作家・著作に取り組みのがよろしいのかもしれません。
 特に若い人々が支持している若い作家などは、こういうところで評判を目にすることが
なければ、ほとんど縁がなくしておわってしまうのでしょう。
 そういえば、「本の雑誌」も最新号の特集は「2008年度ベスト10」となって
おりました。この号は、椎名誠さんの「本の雑誌」は休刊の危機ばかりが話題となって
いますが、本来であれば、このような本がことしのベスト入りというほうが話題に
なるほうがいいのでしょうが、皮肉なことであります。