本の頒布会

 小生が高校生のころまでは(今から40年ほど前)、アメリカ流の文化が
いろいろな分野にあふれていたのでした。今では、理解できないのですが、
リーダースダイジェスト社のダイレクトメールをもらわなかった高校生は
いなかったのではないでしょうか。それとアメリカ流のブッククラブからの
ダイレクトメールも受け取りました。どうして、このようなブッククラブが
商売としてなりたつのかわかりませんでしたが、ブッククラブで選書したものの
なかから、会員の注文に応じて配達されてくるのでした。
 ブッククラブで検索をかけますと、いまでも活動をしているブッククラブが
あるのがわかりました。これの会員というのは、どのくらいいるのであり
ましょうか。日本の風土にブッククラブは定着しないのかなと思ったりして
います。
 日本の高度成長期が完成の域に達したとき、自宅の居間には文学全集を
備えようというキャンペーンがあって、各出版社がそうした文学全集を製作
してせっせと売り込んだのであります。いまではブックオフで一〇五円という
値段がついていたりもするのですが、物質的に豊かになったら、次は文化と
思ったのでしょう。
 それは悪いことではまったくないのでありますが、こうした置物のような
書物を通じて、本との幸せな出会いをした人はどのくらいいるのでありましょうか。