関西の出版社3

 本日の朝日新聞の一面下にある出版広告をみておりましたら、ここに人文書院
ものを発見しました。関西の出版社で、ここはけっこうメジャーなほうかもしれ
ません。何よりも、サルトル全集を刊行していて、サルトルを日本語で読みたいと
思ったら、とりあえずは人文書院のものを手にするしかなかったのではないか。
 もっとも、関西の出版社で一番メジャーなのはなにかというと、たぶんPHP
出版社でありましょうが、ここを出版社として認めたくないひともいることで
しょう。
 富士正晴さんの著書「書中の天地」という76年5月に刊行された本のあとがきを
見ていましたら、それには次のようにありました。(ちなみに、この本の版元は、
白川書院というところ。)
「 現在は新聞の書評は大体、東京に完全に中心があって、大阪版ではなかなか
 選択の自由がないということになってしまっているが、以前は、大阪の文化部・
 学芸部が自主的に本を選択し注文を出してくれたものであった。そのために、
 わたしのような者が、これまで生きてこれたのだという感想がつよく心にくる。
  現在、十三冊にいたっているスクラップブックは何回か東京大阪間を往復して、
 戦塚の本となり、またその往復によってだいぶんくたびれてはいるが、それを
 積み上げてながめていると、三十年ちかくの年月をよくまあこういうことで
 生きてきたことぞと思う。」

 白川書院は、京都にも拠点をもっていた版元で、京都関連出版物というくくりで
目録での表示もありますが、一般文芸書は、編集部は東京にあったようです。
ここなどは、関西からでて東京に軸がうつっていったものと推測されます。
( ここは、小林勝作品集というのをだしています。)
 たぶん、いまは存在しなくなっているのでしょう。
 白川書院が、この本をだしたころに編集工房ノアが産声をあげたことになり、
富士正晴さんも東京の版元からもだすのですが、徐々に編集工房ノアがホームと
なっていくのでした。