子どものモスクワ

 本日の仕事帰りに、ひさしぶり書店によりましたら新潮文庫チェーホフ
ユーモレスカ」が目にとまりました。岩波文庫に続いて新潮文庫も新刊で
このような連鎖はありがたい。新潮文庫には、チェーホフの「手帖」という
文庫本もあったので、勢いでこれも復刊するとよろしいに。いまから大分前に
新潮文庫が一括復刊をしたことがあって、そのなかに「手帖」がはいっていて、
このときに小生は入手することができたのでした。林達夫さんの文章のなかに
チェーホフ「手帖」から引用されていて、これを元の本でみてみたかったのが、
これを入手したいと思った動機でありました。
 
チェーホフ・ユーモレスカ」の翻訳者は松下裕さんであります。この方の
名前を聞きますと、あたまになかに「子どものモスクワ」という岩波新書
タイトルがうかんできます。この新書は、松下裕さんといっしょにモスクワで
暮らした娘さんの松下恭子が、モスクワでのくらしを綴ったものであります。
初版が72年とありますから、いまから36年も前の出版物です。
当時、著者の恭子さんは、中学生か浦和の高校生であったように思います。
この本は、いまも自宅のどこかにあるのですが、まったくでてきそうにない
ので記憶をたよりに書いているのです。
 たしか、松下裕さんは大学をでてから筑摩書房の編集者となって、それを
やめて「ナウカ」かの出張所員としてモスクワ在住となったはずです。今とは
違ってソビエト連邦共産党が支配する国家ですから、この国で生活をすると
いうのは、たいへんであったと思われます。
 小学生の視点で、モスクワの生活のありのままを描いたこの新書は、当時
ずいぶんと話題になりました。この恭子さんは、成長したらどのような人に
なるのだろうかと思いながら、読んだ記憶があります。
 松下裕さんは、帰国してから筑摩書房の「中野重治全集」の編集解説を
担当して、このようなこともするひとであるのかと思いました。
 察するに、現在の松下恭子さんはあとすこしで50才にてがとどこうお年で
しょうか。松下裕さんが翻訳した本に共訳者として名前をつらねていたので
すが、最近もそのような活動をしているのでしょうか。
 本日は、チェーホフの文庫を購入して、松下さんのことを検索かけたので
ありますが、あまりにも情報をえることができなかったので、記憶で、記して
しまいました。
 松下恭子さんは、お元気で活躍しているのでしょうか。