自由時間 意外対談2

 昨日に引き続き75年に刊行となった「自由時間」12月号からであります。
これは通算2号となるのですが、そこには「意外対談」があります。
今回もホストは編集長である長谷川四郎さん、ゲストは「悠木千帆」さんで
あります。最近のかたには、悠木千帆さんなんて知らないなといわれそうで
すが、もちろん、これは希木樹林さんの旧芸名であります。このときの悠木さんは、
このとき「頭の前半分が白髪の女性が登場。すなわち『おばあさんの星』」と
ありました。これは当時にやっていたドラマの役作りになるもののようです。
久世光彦さんによる「ムー家族」とかいうものをやっていたときでしょうか。
 この「意外対談」のタイトルは「笑いと大衆」というものでありました。
 悠木千帆(あらため、きききりん)さんは、いまでこそおしもおされもしない
存在でありますが、この時期は、まだまだテレビ画面に登場する個性の強い
役者さんというくらいの認識でしたでしょう。
(この時に、この対談をみてもそんなに、すごいと感じなかったので
ありますが、あらためてこの対談をみると、いつのまにか主客が転倒して
しまい、ホストである長谷川四郎さんが、悠木さんにインタビューをされて
いるような趣になるのでありました。
 悠木さんの発言です。
「私は、長谷川四郎さんの本を、ほとんど読んでいるつもりです。
 たいしてわからないけど。『中国服のブレヒト』あれは好きで一回全部
読んで、言葉を失くしまして、それでまた買った。・・・
 感じでしかいえないけれど、長谷川さんの本は、じめじめしていないですね。
で、ずうっと好きでした。だから昨日電話をいただいてびっくりして、きょうは
すっとんできました。もうかたくなっちゃってというより思いがけなくて。」
 
 長谷川四郎さんが、悠木さんの舞台をみて、一度演劇の話とか、マスコミの
話を聞いてみたいとおもったのが、この対談が実現した背景にあります。
長谷川さんが脚本を書いたカフカ「審判」の舞台にでて、歌を歌うのを
聞いて、長谷川さんは、悠木さんのことを刷り込まれてしまったのだそうです。