考える人 24号

 仕事帰りに本屋によって「考える人」24号を購入しました。
今回の特集は、「海外の長編小説ベスト100」というものです。この雑誌は、
特集の内容をみてから購入を決めるのですが、昨年の4月に「短編小説を読もう」と
いう特集の時に購入して以来のことです。昨年の4月の時にも記しているのですが、
「考える人」という雑誌は、徹底して編集者の顔が見えないものでありまして、
特集ごとに、がらっと雑誌がかわるのは、そのつど編集者がことなるからでしょうか。
今回の号にも「編集部の手帖」というページがあるのですが、このところであっても
「M記」と署名(?)があるものの、この人の仕事をこれからも追いかけようと思い
ましたら、これはすこし情報不足です。
 この「編集者の手帖」のページにある見出しには、「海外長編の面白さを伝える本」と
あります。この特集をつくるにあたってインスパイアされた本を2冊あげているので
すが、それは、次のものでありました。
 サマセット・モーム 「世界の十大小説」 (岩波文庫
 篠田一士   「二十世紀の十大小説」 (新潮文庫

 そのMさんが篠田一士さんについて、次のように記しています。
「 篠田さんの海外文学の紹介にかけた情熱は、広い青空のもと、大きな野球場で行われて
 いる試合のひとつひとつのプレーを、過去に記憶されたプレーと比較しながら賞讃し、
 しかも太陽に照れされた野球場そのものまで愛するような、開かれた、風通しのいい、
 前向きのものでした。篠田さんに導かれて新しい海外文学に出会うことになった読者の
 数は、野球場にはとうてい収まりきらないでしょう。篠田さんがもしご存命だたら、
 今回のアンケートで『百年の孤独』が第一位になったことをどのようにおっしゃったで
 しょうか。」
 
 そういえば、4月は篠田さんが亡くなった月であります。この「考える人」の特集が
篠田さんへのオマージュであるとしたら、それはそれで歓迎すべきものであります。