本に投資する

 本日、放送された「なんでも鑑定団」をみておりましたら、コミックの
大コレクターのかたが登場しまして、杉浦茂さんの初期作品をスタジオに
持参して、評価をしてもらっていました。ずいぶんと手間がかかった蒐集の
ように思いますし、このかたは蒐集の対象に愛情をそそいでいるのがわかり
ましたので、どのように評価が高くとも、こんちきしょうとは思わないので
あります。
 手塚治虫さんの初期作品がきわめて高い値段がついて売買されているという
話は聞いておりましたが、最近は、程度がよろしければ、こんなにも評価が
高いのかと、違った世界のことではありますが、ぶっ飛びました。
だからといって、専門の古書店に持ち込んだからといって、この値段でとり
引きが可能となるかは、保証の限りではないが。
 それにしても、この杉浦茂の作品とくらべたときに、文学系の古書の評価の
低いことでありまして、小生が本を買い始めた70年代のはじめには、文学
ものが高くて、コミックはごみのような扱いでありました。
そうだからかもしれませんが、保存されることが少なかったコミックは、この
ところ、価格は右肩あがりで、文学などは価格が下がる一方のようです。
 古書を投資の対象として考えた場合は、どう考えても、今はコミックのほうが
効率はよさそうです。しかし、いつこれがはじけるのかは、だれにもわかりま
せん。
 日本経済新聞のおえらいさんであった「おばま としえ」さんは、TBSで
時事放談」という枠にずっと出演をしていました。小生もこどもの時に、
この番組を見物した記憶があります。ずいぶん、辛口でいやなじいさんであるなと
いうのが、小生の「おばま」さんについての印象でした。
 この「おばまとしえ」さんは、また古典籍の大コレクターでもありました。
他のコレクターと違ったのは、かれが古典籍を利殖のために購入していたことで
あります。戦後のインフレなどの時には、現金でもっているよりも、ずっと
インフレに強かったかと思います。
 具体的にどのような本をもっていたのかわかりませんが、おばまさんが本を
蒐集するにあたっては、「反町弘文莊」さんも協力をしていたようです。
反町茂雄さんの自伝を読んでみましたら、おばまさんのことがでてきたように
思いますが、具体的にどのような本を集めていたのかですが、おばまさんは、
本にではなく、それが利殖になるかどうかが、本に接するにあたっての基準で
あるようですが、このような本との接し方があるのかと、感じ入ったのです。
 最近のブックオフでは、岩波新書岩波文庫とコミック新書がほとんど同じ
値段でとり引きされているのですが、小生は、岩波文庫を上におきたいので
ありますが、むしろ、現実はコミックのほうに軍配があがるのでした。