「返品のない月曜日」新風舎版

 先日に、ほとんど新風舎文庫本はもっていないと思うと書いたのですが、
ダンボール箱を探していましたら、「返品のない月曜日」井狩春男さんのものが
でてきました。表紙カバーのバーコードのところにのりがついていますので、
これは百円で入手したものでありましょう。この本には、文庫のちらしがはいって
いまして、それをみましたら「記念すべきデビュー作シリーズ」というライン
ナップがのっていました。このなかに、「口笛の歌がきこえる」「返品のない
月曜日」「マドンナのごとく」「私、プロレスの味方です」などがはいって
いたのでした。このほかのシリーズとしては、「向田邦子賞受賞作家シリーズ」と
いうのがのっていました。ここには、「新風舎文庫は感動をいつまでも残して
いきます。」とあります。
傷だらけの天使」「ふたりっ子」「夢千代日記」「早春スケッチブック
29歳のクリスマス」といった作品がならんでいました。このなかの何冊かは
購入しようかと思ってためらっているうちに、すっかりみかけなくなったので
ありました。
 文庫は消耗品になっているとは思っているのですが、最近は文庫の種類が
多いせいもあって、店頭でもみかけることがなくなっているのは、いかがな
ものでしょうか。ソフトバンク文庫なんて、ほとんどみかけることがないから
してです。
 井狩さんの本に戻りますと、これの最後には「新風舎文庫化にあたって」と
いう文章がおかれています。

「 いったん消えた文庫を、新風舎が、もう一度文庫にして世に出してくれた
のは、まだまだ売れる!と思ってくれているからなのだ。
 いたしかたなく絶版扱いになったものを、新風舎なら救える自信があるからだ。
つまり、少部数の範囲でもウマク売っていき、経営が成り立つノウハウをもって
いるからなのだ。
 そんな新風舎から見れば、単行本にしろ文庫にせよ、出版界は、業界努力の
すくない業界であると映るだろう。つまり、もっともっとうることに努力しても
いいのに、かんたんにあきらめてしまい、倉庫に眠らせてしまうことになったり
して、絶版扱いにして、目録から消して、断裁するのである。
 いいものは残す必要がある。新風舎文庫の創刊は、そういう最も基本的な
出版の志があってのことだ。」

 井狩さんのおっしゃるとおりではありますが、このときに「新風舎出版賞
審査委員長」という肩書きであったようですから、いまとなっては新風舎
広告塔であったといわれてもしょうがないのかもしれません。