長谷川巳之吉という人

 井狩春男さんの新風舎文庫版「返品のない月曜日」を手にしています。
たしか、ちくま文庫でもっていて、読んだと思っているのですが、すっかり
忘れています。
 井狩さんというと書籍の取り次ぎ「鈴木書店」で、日々手書きニュースを発行
していた人ですが、まるすニュースというのは、一つの広告スタイルを作りました
ですね。井狩さんが、早期退職をしてから、鈴木書店は倒産したはずでありますが、
専門書と岩波の本に強い鈴木書店が倒産すると、岩波などもあぶないといわれ
ましたが、いまにいたるまで、そうしたことにならず、めでたい限りです。
 この「返品のない月曜日」をみていましたら、「第一書房 長谷川巳之吉」と
いうエディーター出版部からでた本の紹介がのっていました。
「 大正後期から昭前期の時代に、当時の知識人たちを魅了した長谷川巳之吉
いう出版人がいた。
 この人が創った第一書房は、当時岩波書店とともに日本の代表的な出版社だった。
だが、今は第一書房はなく造本の素晴らしい古書の数々と、優れた出版社であったと
いう伝説に似た話が残っている。・・・
 数日前に、この本の編者の一人である林達夫さんが亡くなられた。仏前には、
そのときやっとできあがってきたこの本のゲラ刷りが捧げられた。林達夫さんは、
さぞかし美しい本と仕上がった『第一書房 長谷川巳之吉』のずっしりとした
感触を手にしたかったであろう。」
 この本の企画からゲラ刷りができるまで3年4ヶ月かかったということであり
ます。林達夫さんは、高齢でありましたので、完成をまつことなくなくなったので
ありました。

 そういえば、この第一書房主については、長谷川郁夫さんも「美酒と革嚢」と
いう本をだしています。先の本もですが、どちらも値段が高いというのが、すこし
残念であります。