「美の座標」坂根厳夫

 ブルーノ・ムナーリの生誕100年記念の展覧会があったとかで、「芸術新潮」でも
特集が組まれたとありました。ムナーリという名前は、どっかで聞いたことがあるぞと
思っておりましたら、やはりイタリアのデザイナーさんでした。
 小生のところには、いまから25年以上も前に購入した「本に出会う前の本」がある
のでした。こどもが生まれてまもなくに、このようなものがでているのを知って知人と
面白がって注文をしたのですが、なんとびっくりで12冊の小さなオブジェが16000円
ほどもしました。面白がってみるには、財布へのダメージは大きくて、へこんだおぼえが
あります。
 それから25年ほどもして、この本のことをネットでまじまじとみることになるとは
思ってみませんでした。小生がもっているのは、80年にでたもので、相当にこれは
珍しいもののようです。けっこう雑に保管していて、6分冊はすぐにでてきたので
ありますが、のこる6冊はどこにしまってあるのか、これはこれから捜索をするので
ありました。洋書は購入しても読むことはできないのですが、この「本に出会う前の本」は
表紙には「LIBLO」とあるのですが、なかのページにはまったく文字がないというもので、
文字のない絵本というようなものです。
 こうした本があることを知ったのは、当時、朝日新聞記者であった「坂根厳夫」さんの
コラムによるところですが、どこかに新聞の切り抜きがあるはずですが、単行本と
なっている「かたち曼陀羅」とか「美の座標」などをひっぱり出してきても、ムナーリの
この本についての記述は眼につきません。どこにあったろうかね。
( たぶん、「遊びの博物誌」にのっていたのでしょう。あの本は、どこにあるだろう。)
 それにしても、ひさしぶりに「美の座標」みすず書房を手にして、この本はみすずから
でていたのだと再認識したのでした。これもそうとうに珍しいかなと思って、日本の古本屋を
のぞいてみて、そこにのっていた本の高価なことに、これまたぶっとびました。
「美の座標」は、杉浦康平と中垣信夫さんの装幀で、真っ黄色の箱から目玉がでていると
いうもので、みすずのものとしては相当に異色ですが、坂根さんのあとがきには、本とする
にあたっては小尾俊人さんの世話になったとありました。
 この本はなんとか、そのうち画像で紹介をいたしましょう。