メディア・アート創世記

 みすず「読書アンケート」をみて購入した一冊が、坂根厳夫さんの「メディア・アート創世記」であります。

メディア・アート創世記ー科学と芸術の出会い

メディア・アート創世記ー科学と芸術の出会い

 工作舎のものですが、いかにも「工作舎」らしい仕上がりの一冊となっています。この
本のタイトルに添えて「科学と芸術の出会い」とあるのが、ブックデザインだけでなく
内容も「工作舎」らしいと思わせる原因かもしれません。独特の版型もよろしいことです。
工作舎の本は、すべて裏表紙にバーコードが印刷されないのでしょうか。この本には
バーコードを印刷したシールが貼られていて、そのシールには「このラベルはきれいに
はがせます」と印字されていました。自分が装丁を担当したものには、絶対バーコードは
印字させないというのを主義にしている和田誠さんのようなデザイナーもいらっしゃい
ますが、普通はそうはいかない。そういう無理が通るのは、超一流のあかしと思って、
この本の担当をみましたら未知の方でありました。杉浦康平スクールの方でしょうか。
 坂根さんは、1930年のお生まれですから、ことし80歳となるのでしょうか。当方が最初
にお名前を知ったのは朝日新聞の記者としてですが、ご自身が書いている文章を引用して
みましょう。
「私は、大阪万博の(1970)の一年前から科学欄に『美の座標』と題して連載を始めたの
だが、第一回目に、石井幹子さんが山口県萩市民会館の天井ホールに構成された『光の
天井」を取り上げた。彼女の光の造形は、いまでは世界的に知られるようになったが、
・・・このときには、人工衛星が撮影した地球に点在する光をとらえた写真を引用しなが
ら、石井さんの光の造形世界について書いたことを思い出す。」