読売「2007年の3冊」

 本日に職場で年末の掃除をしておりましたら、読売新聞12月22日付けが
でてきました。最近は、読売を手にすることがすくなくなったのでありますが、
たしか、日曜日は読書欄が掲載されているはずと、捨てられていた新聞を救い
だして、なかを確かめたのでした。
 小生が学生であった40年近くもまえは、朝日新聞の書評欄が取り上げるものは、
ずいぶんと高級で、朝日新聞の読者は、こんな専門書を読み人であるのかと思った
ものです。それと比べると、読売は一般的な本がとりあげられていて、好感が
もてましたので、駅のキオスクまで読書欄よみたさに買うためにでかけたものです。
 最近では毎日新聞読書欄が充実しているといわれていますが、読売新聞も
読書委員のメンバーの幅がひろくて、これならもうすこし注目してもよろしいかと
思った次第です。
 たとえば、小泉今日子さんが選んだ今年の三冊というのは、このようなライン
ナップです。
 1 「お月さん」 桐江キミコ 小学館
 2 「頭のうちどころが悪かった熊の話」 安東みきえ 理論社
 3 「 川の光 」 松浦寿輝 中央公論 

 この3冊をベストにした理由を次のようにいっています。「今年のベスト3は、
自分の心がすこし痛くなった「3冊をえらんでみました。」
 その昔に、小泉今日子さんがエンデ「モモ」」を推薦して、ずいぶんと新しい
読者を獲得するに力になったといわれていました。なるほど、あいかわらずで、
小泉今日子さんは、本を読んでいるのだなとうれしくなるのでした。

 林道郎さんという上智大学教授(西洋美術史)は、マンガばっかりの3冊です。
 1 「舞姫 テレプシコーラ」 山岸涼子
 2 「海街diary1 蝉時雨のやむ頃」吉田秋生
 3 「ちひろ」 安田弘之
 小生は、マンガの世界は、まったく暗いので、このようにでも紹介をしてもらわ
なくては目にはいってこない。評者の名前ははじめてしるのですが、安田弘之さんと
いう、これまたはじめて知った人の作品をとりあげて、次のように記するのを
見ますと、作品を見たくなるのとともに、この方がすすめるほかのものも気になる
のでありました。
「 『ちひろ』は復刊だが、ぜひとも。歌舞伎町の風俗嬢の物語。生々しい描写が
 多く、R指定だが、悲しくて滑稽でたくましい人間の性に感じいる。上巻138
 からの雪景色は、漫画史に残るだろう。広く、冷たく、暖かい。」

 へんに立派すぎないのが読売読書欄の魅力かもしれません、この紙面で丸谷才一
さんの「袖のボタン」がとりあげれているのを見ても、素直によむことができる
ことです。
 評者は茂木健一郎さんです。
「 丸谷さんの文章を読むと、成熟することの価値が身にしみる。経験を重ねる
 ことで初めて達することのできる境地。若ければいいというものじゃないことに、
そろそろ気づくべきではないか。」